新人紹介 伊藤 岳

新人紹介  伊藤 岳

舞鶴水産実験所 伊藤 岳 特任助教

 2023年3月より舞鶴水産実験所に特任助教として着任いたしました。もともと釣りが好きで、学部・修士時代は新潟大学佐渡臨海実験所で研究を行っておりました。そのため、舞鶴での生活は親和性が高く、様々な方が往来する舞鶴水産実験所で意見を交わしながら研究できることが非常に楽しみです。
 専門は、魚類の繁殖形質に関わる進化生態学です。特に、近縁種に体外受精・体内受精を有する分類群を用いて、体内受精の進化により精子の形質がどのように適応したのかを調べています。精子はほぼすべての動物が持つ細胞であり、「卵にたどり着き受精する」という単純な役割をもつにもかかわらず、非常に多様な形態や運動性をしていて、この多様性を生み出す要因を繁殖生態と絡めて明らかにすることを研究の目的としています。形態・運動性の比較だけでなく、RNAシーケンスやプロテオームなどを駆使して、マクロからミクロなスケールまで幅広い視点から研究を展開しております。
 舞鶴水産実験所では、これまでの研究に加え、イオン環境財団のご支援を受け舞鶴市に流れる伊佐津川の環境DNAの調査を行っています。伊佐津川にはいくつか堰があり、このような人工物が魚の往来にどのような制限を設けているのか調べ、魚類の動態と人間活動との関連性を明らかにできればと思っております。研究のみならず、研究成果の還元にも目を向けてフィールド研の発展に貢献できれば幸いです。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

ニュースレター60号 2023年6月