コロナ禍に行われた瀬戸臨海実験所の実習(事例報告)

コロナ禍に行われた瀬戸臨海実験所の実習(事例報告)

瀬戸臨海実験所長 下村 通誉

 2023年4月14日に「水産・臨海・臨湖実験所フィールド実習ワークショップ」をオンラインにて開催しました。コロナ禍の実習で工夫した点、今後の課題について紹介しました。
 2019年末から新型コロナウイルスの感染拡大が始まり、2020年には全世界で猛威をふるいました。瀬戸臨海実験所では、コロナ禍前の2019年度に京都大学の実習10件延べ人数300人、公開臨海実習4件延べ130人を受け入れていたところ、2020年度には京都大学の実習3件延べ人数30人、公開臨海実習1件15人にまで落ち込みました。感染者数のピークは第1波から第8波までありました。第1波から第3波までの全ての実習を中止にしました。その後、対面実習では日程の短縮と参加人数制限を行った他、様々な感染拡大防止の工夫を行いました。第4波中に理学部臨海実習第3部を行いました。しかし、宿泊に伴う感染リスクを避けるために当実験所での実施を断念し、実習材料を本学理学部に運び込んで実習を行いました。第5波中の理学部臨海実習第1部と第2部は、日程短縮の上、オンラインで行いました。前もって実習生に標本(甲殻類、貝類、ウニ類等)、ピンセット、解剖ハサミを送付し、オンラインでPC、カメラ、実体顕微鏡の画面を共有して同定方法や解剖の手順等を解説しました。
 オンライン実習でも、ある程度の教育効果は得られるという実感はありましたが、実習生自らが現地で海の匂いや風を感じながら実際に生物を採集することが一番大事と再認識しました。2022年度には京都大学の実習が13件延べ人数248人、公開臨海実習が6件延べ人数167人にまで回復しました。このままコロナ禍が終息することを祈ります。

ニュースレター61号 2023年10月