ポケゼミ報告2010「サンゴ礁生態学入門」

海洋生物進化形態学分野 深見 裕伸 助教


 ポケゼミ「サンゴ礁生態学入門」は、京都大学本学での講義2回(4月と5月)と和歌山県白浜町にある瀬戸臨海実験所での2泊3日(参加者の日程があわず、2回開催:6月4-6日、6月11-13日)の野外実習で実施した。昨年度は高知県にある横波林海実験所にて行ったが、今年度は諸事情により瀬戸臨海実験所にて開催した。参加者は、女子2名を含む定員一杯の5名(法学部1名、医学部1名、薬学部1名、工学部1名、農学部1名)であった。
 実習は、初日の夕方に白浜駅にて集合し、瀬戸臨海実験所に到着した後、今後の予定などを話し合い就寝した。2日目から実際にウェットスーツ、水中マスク、スノーケル、フィンをつけて海に入った。皆、ウエットスーツの着用が初めてであったこと、および水中マスクとスノーケルを初めて使った学生もおり、最初は海で泳ぐのに戸惑っていたように見えたが練習しているうちにすぐに上達した。天気もよく円月島の周囲で泳ぐ練習をした後、実際に生きているイシサンゴの観察を行った。多くのイシサンゴとそれらの周囲を泳ぐ熱帯魚という完全な熱帯の風景を見て、学生が感動していたのを見てうれしい気持ちになったものである。その後、イシサンゴの種類をある程度覚えてもらい、さらに数種類のイシサンゴを採集した。夕方以降は夜中までかかって、採集したイシサンゴの表面および内部にどれくらいの生物が生息しているのかを実際に観察し、そうすることで、サンゴ群集がどれだけ生物にとって多様性を生み出しているのかを実感してもらった。最終日は、午前中も海に入り、どれくらいの割合でイシサンゴが生息しているのかをライントランセクト法にて調査し、その結果を午後にまとめ、夕方には解散した。調査では水深2m程度まで潜る必要があったため、実際の調査がかなりつらいということも学生が実感したようであった。
 当初計画していた横波林海実験所から瀬戸臨海実験所に変更になったことが少し残念であったが、それ以外は全体的に大きな問題もなく終了することができた。私にとって最後のポケゼミであったが、学生がサンゴに非常に興味を持ちながら参加してくれ、非常に良い思い出となった。学生達に感謝である。