森林育成学分野 特定研究員 田中 拓弥
公益財団法人イオン環境財団との協働で2022 年度から実施している「新しい里山・里海 共創プロジェクト」の活動の一環として、上賀茂試験地(以下、試験地)では、2023 年4月から月1回程度「里山おーぷんらぼ@上賀茂」(以下、らぼ)を実施した。小中学生・高校生・大学生・企業、NPO、アーティスト等、多様な人々が集まり、試験地での里山づくりや山・畑の産物の利用を楽しみながら体験した(表1)。延べ人数では合計301 人の参加があった。
(表1 里山おーぷんらぼ@上賀茂の活動内容)
日程 活動内容 参加者数
4月15日(土) 第1回 里山エリアの視察 11
5月13日(土) 第2回 らぼ参加者の交流 40
6月10日(土) 第3回 NPO 森守協力隊との連携による交流 40
7月 8日(土) 第4回 里山のビジョン共有 17
9月 9日(土) 第5回 工藝の森コンセプトの共有 22
10月13日(金) 第6回 里山エリア・道沿いの植生調査(1) 22
10月14日(土) 第6回 里山エリア・道沿いの植生調査(2) 14
11月11日(土) 第7回 植生調査の結果を共有 15
12月16日(土) 第8回 2024年の活動について意見交換 34
1月13日(土) 第9回 植樹の準備・畑作業 18
2月10日(土) 第10 回 植樹の準備・畑/基地活動 27
3月10日(日) 第11 回 里山エリアの植樹 47
試験地にある外国産針葉樹の見本林エリアは、台風などの攪乱で荒廃しており、里山エリアとしての再生が目指されている。その1区画18 林班に対する管理方法の検討や管理作業に、らぼの参加者が参画した。話し合いの結果、工芸や暮らしで利用される樹種を含み、その活用を体験できる森づくりを目指すことになった。参加者により植生調査を実施し、その結果を踏まえ、3月に植樹した。また、植生調査の結果を土台に、フィールドガイドをらぼ参加者で作成し
た。
らぼからスピンアウトした「チアーズクラブのための里山体験プログラムづくり」を計6回実施した(表2)。洛西LINKS の高校生・教員を中心に、延べ人数で合計116 人(小学生以下15 人を含む)が参加した。
(表2 高校生によるチアーズへの里山体験プログラムの提供 活動内容)
日程 活動内容 参加者数
7月15日(土) 洛再Links (1)プログラム案について意見交換 11
8月 1日(火) 洛再Links (2)ネイチャーゲームの体験 10
8月 3日(木) 洛再Links (3)草木染の体験 13
8月 8日(火) 洛再Links (4)炭焼きの見学 12
9月24日(日) 洛再Links (5)プログラムの試行 19
10月15日(日) 洛再Links×チアーズ (6)里山体験プログラムの提供 51
1年間実施する中で、一度だけ参加する人もあるが、他方で繰り返し参加している人もあり、関わり方は様々であった。過去の参加者による紹介や口コミで参加希望する人も増加してきた。試験地の中期的ビジョン等と整合させつつ、参加者の積極的に実践したい気持ちを支援するスタンスが、今後に向けて大切ではないかと思われる。
年報21号 2023年度 主な取り組み