舞鶴水産実験所長/里海生態保全学分野 教授 益田 玲爾
柴漬けとは、木の枝を集めてしばったもの(柴)を海に沈めて、集まる魚を採集する、伝統的な漁法のことです。この柴漬けを子供たちに体験してもらうイベント「京都大学舞鶴水産実験所で木の枝を海に沈めて集まる魚を観察しよう!」を、イオン環境財団との「新しい里山・里海 共創プロジェクト」の一環として実施しました。
4 月22 日、舞鶴水産実験所内に生えている樹木から枝を切り落とし、これらをロープで結わえて、柴を作りました。柴は広葉樹(シラカシ)と針葉樹(スギ)の2 種類でそれぞれ作製し、舞鶴水産実験所前の海に沈めました。設置してしばらくは、定期的に潜水して柴に集まる魚の様子を観察し、共創プロジェクトのホームページで報告しました(https://collabo.fserc.kyoto-u.ac.jp/news/p9qHpwi_)。
7 月22 日、これらの柴に集まった魚の採集を試みました。あらかじめ柴の下には網を敷いておき、皆で引き上げます。採集された魚はアミメハギ、キジハタ 、ササノハベラなど全部で9 種類、31 個体いました。採集した魚を用いて、簡単な行動実験もしてみました。細長い水槽の両端に、広葉樹と針葉樹のミニチュア柴を設置します。中央に魚を放し、どちらを選ぶか、という実験です。広葉樹の柴から採集した魚は水槽内でも広葉樹を好むでしょうか? 子供たちとともに、予想を立てながら実験してみました。
年報21号 2023年度 主な取り組み