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教育活動

ポケゼミ報告2011「C.W.ニコル“アファンの森”に学ぶ」

里山資源保全学分野 教授 柴田 昌三


 2011年度も少人数セミナー「C.W.ニコル”アファンの森”に学ぶ」を開講した。2010年度を持ってフィールド研社会連携教授を辞退されたC.W.ニコル氏を訪ねる少人数セミナーである。今回参加した学生の所属学部は、教育学部1名、法学部1名、薬学部1名、農学部4名(男子3名、女子4名)であった。顔合わせを兼ねた説明会を5月16日に、予習会を7月11日に行ったが、これらを通して、今年のメンバーはそれぞれが活発な人材であることが確認できた。
 アファンの森訪問は、8月5日~10日に行った。今回の補助は境慎二朗技術長にお願いした。彼の献身的な補助なしには、このポケゼミは成立しなかった。また、今回は女性フリージャーナリストの参加も許可した。長野で講義内容はすべて例年通りであり、6日に長野県下の森林を長野県環境保全研究所、森林植物園、戸隠奥社で見学した。道中では戸隠そば、ゆでトウモロコシや新鮮な野菜などの地元産品に舌鼓を打った。翌日からはアファンの森である。いつものように我々を迎えてくださったのはアファンの森財団代表のニコルさん、森を管理しておられる松木さん、現地で財団をしっかりとお守りしておられる石井さんの実質上トップスリーのお三方である。恒例のニコルさんを森の中のベンチで囲むレクチャーから実習は始まった。学生たちがニコル・ワールド徐々に飲み込まれていく光景はいつも通りである。昼食時には親しげに話をする学生も現れた。残念ながら今回の実習では、ニコル氏があまりに多忙なため、この日の午前中と三日目の最後にしか登場願えなかったが、かわって大活躍をいただいたのは松木氏である。7日の午後から松木教室が始まった。この日はアファンの森で、翌日はいつものように隣県の新潟県妙高山笹ヶ峰での原生林見学、三日目の森林作業、とお話をいただいた。感謝に堪えない。8日には笹ヶ峰で原生林を見た後、長野・新潟県境にある苗名滝からその下流にいたる台砂防工事を松木氏と石井氏の解説で見学した。10日は森林作業を経験した。松木氏の指導と堤氏の解説のもと、アファンの森財団が新たに取得した森林で行われた藪刈り作業の後始末が仕事の内容であった。昼前に、昨秋完成した財団のセンターを訪問し、そこでニコル氏の最後の講義を受けた。すっかり打ち解けた学生たちはいつまでも質問を続け、昼前に終わる予定であったものが13時ころまで延長することとなった。この日の夜には、例年のようにニコル氏が宿を訪れてくれた。麦焼酎を飲みながらニコル節はヒートアップしていったが、今年の学生たちはそのようなニコル氏を取り囲み、積極的に交流をしていた。途中からは宿の隣にお住まいの松木氏も参加してくださり、これより上はないと思われるほど充実した時間を得ることができた。10日には日本海側に降りるなり襲ってくる高温に辟易しながら、京都まで帰り着くことができた。学生諸氏には何事もなかったことはありがたいことであった。
 昨年度のようなことはなかったものの、今回も朝鮮半島を襲った台風の影響が強く、最後の二日を除いて夕立に見舞われた。そのため、夜には必ず雲がかかり、恒例の暗闇&星空体験が実施できなかったことは残念であった。また今回は、東日本大震災の影響を受けて、例年のラボランドくろひめのロッジをお借りすることができなかった。こちらのご厚意でご紹介いただいたのは民宿旅館16番荘であり、松木氏のお宅の隣という立地であった。いつものような合宿タイプとは異なる滞在となったが、大変おいしい朝食を毎朝ご提供いただき、感謝に堪えない。今回も、学生たちはニコルさんからさまざまな薫陶を受けたようである。そのことは帰洛後に集めたアンケートからも知ることができる。
 なお、ポケゼミ終了後の9月23日には、これも恒例になった同窓生が主催するバーベキューパーティが上賀茂試験地で開催された。同じ経験を共有している学生たちの交流をみることは、指導者としての冥利に尽きるものである。
 来年度以降、これまでのようなニコル氏に全面的に頼る少人数セミナーの実施は困難な状況にある。しかし、これまでとは異なる形態であれ、このセミナーを続ける方向で考えたいと思っている。