第2回由良川フォーラム

里海生態保全学分野 山下 洋


 舞鶴水産実験所は芦生研究林と共同で、森里海連環学の核となる研究プログラムとして、由良川流域の利用構造と水圏環境・生物生産機構との関係を調べるために、「若狭湾・由良川プロジェクト(WakWak)」を実施している。一方、京都府は、北部京都において災害に強い地域作りを長期的な視点で進めるために、モデルフォレスト事業をスタートさせた。そこで、流域管理に関する様々な情報の整理、由良川流域で活動するNPO などの諸団体や住民との交流などを目的として、京大フィールド研と京都府が共同で由良川フォーラムを設立した。平成17年9月3日に綾部市で開催した第1回フォーラムに続き、平成18年8月26日(土)に舞鶴市西駅交流センターにおいて、第2回由良川フォーラム「森と川の今を考える」を開催した。

 フォーラムでは、近畿大学農学部環境管理学科教授細谷和海氏から「由良川の魚の多様性とルーツ」、また、東京大学大学院農学生命科学研究科講師蔵治光一郎氏から「いま日本の森の何が問題か-過剰な期待と進まない対策の間で何ができるのか-」というタイトルでの学術講演と、由良川流域で市民レベルの文化的取り組みを行っている、福知山環境会議(里山プロジェクト)、サケのふるさと由良川を守る会、(特定非営利法人)間伐材研究所、舞鶴市与保呂区自治会の4団体からの活動紹介があった。また、講演会場ロビーでは、14団体が活動を紹介するポスター展示を行った。130名の参加者があり、アンケートに対する参加者の感想も、本フォーラムの意義を高く評価する内容が多かった。

 昨年度は“林業と河川管理”、今年度は“森林と河川の健康”が主なテーマとなった。来年度は、これまでとり上げていない“海”や“森林生物”などがテーマの候補としてあがっている。また、由良川流域の主要都市である綾部、舞鶴で開催されたので、来年度は福知山市での開催を検討している。

ニュースレター9号 2006年12月 ニュース