森里海連環学(CoHHO)セミナーの紹介

森里海連環学教育ユニット・総合生態系管理学領域 横山 壽

 森里海連環学教育ユニットでは、フィールド科学教育研究センターが進めてきた森里海連環学を学問分野として確立することを目的とする一方で、教育を通してこの考え方を大学院生・大学生などに浸透させ、日本の流域・沿岸域の環境を守り、改善するための管理に生かしていくことを目的として活動しています。森里海連環学(CoHHO)セミナーは、このための情報交換を目的として、月一回の頻度で開催しているものです。今回は、昨秋以降に行われた第3回と第4回のセミナーについて紹介します。
第3回目(11月22日)は、清水夏樹特定准教授(森里海連環学教育ユニット)に「バイオマス活用は地域に何をもたらしうるのか~メタン発酵技術を中心としたシステムの評価~」というタイトルで発表していただきました。セミナーでは、国内でのバイオマスをめぐる近年の動向や研究およびメタン発酵技術を中心としたシステムの経済性とエネルギー収支の観点からの評価に関する研究成果が報告され、森里海連環学に基づいたバイオマス活用のあり方が議論されました。システムを評価する際、従来はバイオマスの発生から再生資源の利用までのライフサイクルが対象とされてきましたが、物質循環やシステムの持続性を考慮したより広い範囲での評価および窒素循環や環境指数など環境への影響の観点からの評価の必要性についての意見が交わされました。
第4回目(12月27日)は、吉積巳貴助教(地球環境学堂)に「地域連携・社会貢献活動を通した学際融合教育研究の可能性~アジアプラットフォームの取り組みを通して~」というタイトルで発表していただきました。セミナーでは、地球環境学堂が2005年より実施してきたベトナムにおける環境マネジメントと持続的コミュニティの開発に向けた国際連携による教育研究活動が紹介され、1)地域の課題解決に向けた他分野研究者を含む共通の議論の場、2)定期的な年報、プロジェクト便り、ソーシャルネットワーキングサービスなど情報共有媒体、3)学生やコーディネーターなどつなぎ役の存在、が学際融合した教育研究には重要であることが説明されました。また、このような活動を研究として位置づけるには何が必要であるかが議論されました。

ニュースレター29号 2013年2月 研究ノート