実習報告2022 ILASセミナー 「海洋共生生態学入門」

里海生態保全学分野 助教 後藤 龍太郎

 海洋生物の共生関係の多様性に注目したILAS セミナーを2022年度新たに開講しました(担当:後藤、邉見、山守)。本実習は、2022年9月11日から13日にかけて、参加者の学部1 回生3 人とともに和歌山県白浜町にある瀬戸臨海実験所にて実施しました。初日は、臨海から歩いてすぐの磯に出て、ウニの巣穴とその中に棲む共生生物などを対象に採集・観察を行いました(図1)。夜は海の生物の共生関係とそれに関連する研究について各教員が講義を行いました。二日目は、午前中に白浜水族館の展示で見られる共生関係(ホンソメワケベラと他の魚との掃除共生やクマノミとイソギンチャクの防衛共生など)を観察した後(図2)、昼からは近所の干潟に移動し(図3)、スコップやヤビーポンプという道具を使用して巣穴形成性甲殻類とその共生者の採集を行いました。持ち帰ったヨコヤアナジャコとその巣穴に共生するセジロムラサキエビを水槽内で観察し(図4)、興味深くもあまり目にすることのないその不思議な生態をじっくり見ることができました。最終日には、実習で見たことや観察したことを発表してもらい、レポートも提出してもらいました。磯、干潟、水族館、講義と盛りだくさんの内容となりましたが、皆頑張って積極的に参加してくれました。天気にも恵まれフィールドで充実した採集・観察ができ、海の共生の多様性や面白さを実感してもらえたのではないかと思います。

年報20号 2022年度 実習報告