報告 「大学の森で学ぼう2015」

ひらめき☆ときめきサイエンス「大学の森で学ぼう2015~土のはたらきをしらべてみよう~」

北海道研究林長 舘野隆之輔


 京都大学フィールド科学教育研究センター北海道研究林において、日本学術振興会の研究成果の社会還元・普及事業「ひらめき☆ときめきサイエンス~ようこそ大学の研究室へ~」の一環として、中学生、高校生を対象に「大学の森で学ぼう2015~土のはたらきをしらべてみよう~」を開催した。今回で4回目の開催となる。開催日は、平成27年8月4日(火)で、参加者は中学生4名、高校生9名と引率の高校教員1名と保護者1名で、実施代表者の舘野と実施分担者の北海道研究林職員8名に加えて、北海道研究林に調査で来研中であった博士研究員が実施協力者として、プログラム実施に携わった。
 プログラムは、昨年に引き続き、森林土壌に着目した講義や野外実験により土壌の働きを理解することを主な目的として行った。開講式では、開講の挨拶に続き、科研費や研究活動に関する説明を行った。開講式に引き続き大学の講義を体験するミニ講義では、森林の機能や森林土壌のはたらきについて学んだ。その後、研究林の森林へ移動し、「森林土壌のはたらき」について野外で観測する方法について、測器を手に取って受講生自らがデータを取得する野外観測体験の時間を設けた。野外観測体験では、森林と最近伐採を行った伐採跡地で、土壌水分センサーや土壌硬度計、温度計、ECメーターなど、実際の研究に活用している観測機器を用いて、土壌環境の測定を行い、また土壌採取器具を使った土壌の採取方法についても学んだ。採取した土壌を実験室に持ち帰り、実体顕微鏡やデジタルマイクロスコープを用いて、土壌や細根の観察も行った。最後のクッキータイムでは、野外で得たデータを受講生が手分けして集計し、森林と伐採跡地の土壌環境の違いを考察する時間を設けた。また受講生一人一人が一日学んだことをみんなの前で紹介する時間を設け、「未来博士号」の授与式を行った。
 受講生からは、森林や土壌の大切さが感じられた、科学の面白さを感じた、研究が地道な努力の積み重ねであると始めて知ったなどの意見が聞かれた。参加者の確保が例年課題であったが、今年は高校訪問の効果が大きかったと思われ、次年度以降も継続して近隣の学校との関係を強化していきたいと考える。また今回は、近隣だけでなく、札幌や広島など遠方からの参加者もあったため、今後は近隣に限らず、幅広く広報を行うことも目指したいと考える。

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