芦生研究林長/森林育成学分野 准教授 石原 正恵
近年,芦生研究林では企業からの支援を模索してきました。そうした中,京都モデルフォレスト協会のご紹介で,地方創生をすすめてきたKDDI 株式会社を紹介いただき,様々な課題とこれまでの取り組みを双方から紹介するなかで,VR(バーチャルリアリティ)を活用した教育ならびに芦生研究林の保全に関する連携をすすめることになりました。
2020 年から新型コロナウイルス感染症が拡大し,フィールド実習の実施が困難・限定的となっています。こうした事態を受け,森林を疑似体験できる教育コンテンツを模索してきました。そこで,360°画像をゴーグルやインターネット上で体験できるKDDI 株式会社のシステムを活用し,オンライン実習や京大本部での授業に用いています。技術職員が中心となって,林内の撮影,撮影・編集方法の改良,説明文などの追加,アップロードなどを進めてきました(詳細は,研究林・試験地情報2020 の岸本泰典・永井貴大技術職員の記事参照)。さらに,京大ウィークスなどの一般市民への教育,さらにはフィールド実習を補完する教材としても活用が広がってきました。例えば,時間の都合で行けない場所を擬似的に体験したり,夏の実習で冬の森を観察するといった使い方です。
さらに,KDDI 株式会社の社会貢献活動「+αプロジェクト 」で積み立てられたお金の一部 (50 万円) を京都大学芦生研究林基金にご寄付いただきました。2020 年10 月22 日にはKDDI 株式会社とフィールド科学教育研究センターによる,寄付贈呈式,VR 教育コンテンツの発表・体験会を開催しました。KDDI 株式会社から芦生研究林基金への寄付目録をいただき,フィールド研から感謝状を贈呈しました。
来年度には,授業・実習に加えてイベントでの活用,動画VR コンテンツ制作,KDDI 株式会社員による森林ボランティア活動を計画しています。
年報18号 2020年度フィールド研2020年度の主な取り組み