新人紹介 横部 智浩

森林情報学分野 横部 智浩 特任助教

 今は森林で植物−土壌間の窒素循環、特に土壌の微生物の役割について研究をしています。でも実はこのような研究に携わる前、土壌・地下水汚染調査などの技術的な仕事をしていました。工場跡地や工事現場などに行って地面に穴を掘って土のサンプルをとったり井戸水のサンプルをとったりし、重金属などの濃度を調べ汚染の有無を評価したりしていました。汚染といわれるものを何年も見ていたわけですが、循環するものって何だろうと考えるようになり、次第に物質の循環、特にその陸域のシステムについて強い関心を持つようになりました。結局その仕事を辞めて大学院(森林科学)に入って物質循環の研究をはじめ現在にいたります。
 実際の研究ではいろいろな森林に行って植物リターや土壌を採取してそれらの窒素の形態やその量、微生物のバイオマスや群集構造などを調べたりしています。これまで着目した点は季節性、火山降下物の影響、粗大リターの影響などです。季節性については、温帯林で土壌の窒素動態とそこの土壌微生物の関連などを調べました。火山降下物の影響では、母材が火山降下物(主に火山灰)の森林サイトとそうでないサイトを比較し、土壌の窒素無機化の速度や真菌−細菌優占度などを評価しました。粗大リター(落枝など)の影響に関する研究は芦生研究林のブナの優占する斜面地で行いました。
 これまで自然システム、特に森林の窒素循環やそこにいる微生物群集について見てきたわけですが、今後はフィールドを広げ里山の土壌などの人がかかわるシステムについても研究していければと思っています。よろしくお願いいたします。

ニュースレター57号 2022年6月 新人紹介