新人紹介 舘野 隆之輔

森林環境情報学分野 舘野 隆之輔

Tateno Ryunosuke

 4月1日付けで鹿児島大学農学部から准教授として赴任してきました。学部時代は、京都大学の林学科に所属しておりましたので、演習林(現研究林)には実習などでお世話になっていました。実習中は、夜はお酒をたくさん飲み、昼はほどほどに働く「真面目な」学生でした。大学院時代は森林生態学研究の調査地として、主に芦生演習林を使わせてもらって色々と楽しい研究をさせて頂きました。学位取得後は、1年間非常勤職員としてフィールド研にお世話になりましたが、当時はフィールド研がまだ出来たばかりで、「森里海連環学」をどうやって作っていくのかといったことが熱く議論されていたようでしたが、私自身は調査や実験のお手伝いをしていただけで、あまり全体での議論のお手伝いを出来なかったのが残念です。その後、ポスドクとして総合地球環境学研究所で1年半ほどお世話になり、地球環境問題の解決に資するような学問分野を構築するべくプロジェクト研究に携わりました。所属した研究プロジェクトでは、流域環境の自然科学的な情報と人々の環境意識を結びつける方法論を開発するために、自然科学者や社会科学者など色々な分野の研究者の間を繋ぐ役割が与えられ、これまで自然科学(しかも森林生態学の極めて狭い世界)にどっぷり浸かっていた状況とは大きく変わり、試行錯誤の中で色々と勉強させて頂きました。当時のプロジェクトリーダーがフィールド研の吉岡教授です。
 教員としてのキャリアのスタートとなった鹿児島大学農学部では、育林学研究室に所属し、育林学(昔の造林学)や樹木実習などの科目を担当しつつ、今では全国的にも珍しくなった昔の林学科のような教育体系がしっかり残る森林科学コースの教育に携わりました。学部時代は、林学科に所属し5年間(?)しっかり勉強したものの、久しく林業から離れた分野にいたため、これまた色々と勉強しながら、何とか役目を果たせるようにと頑張ってきました。卒業生の多くは、森林・林業系の公務員や企業に就職し頑張ってくれているようで、日本の森林・林業の再生に微力ながら貢献できたのではと勝手に思っています。
 これまでの学部時代からのざっと20年間(!)を振り返ると、研究対象は森から抜け出して流域環境、地球環境と順々にスケールアップ(少なくとも所属先は)していきましたが、再び森に帰って学部の森林・林業技術者教育をやっていたという感じでしょうか。これまでは学部教育が本務で、授業・実習や卒業論文研究の指導、研究室や教育コースの運営などが主な任務と考えてやってきましたが、フィールド研では最先端の研究を走らせている教職員や大学院生などと連携しつつ自分の研究を少しでも発展させる一方で、研究林や試験地を魅力あるフィールドとして育てていくことに力をいれていきたいと思っています。またフィールド研が掲げる柱でもある「森里海連環学」をさらに強固なものにするべく、プロジェクト研究やフィールド研内の議論に積極的に関わっていければと思っています。皆さまのご指導ご鞭撻、よろしくお願いいたします。

教員紹介ページ 舘野 隆之輔

ニュースレター23号 2011年6月 新人紹介