新人紹介 佐藤 拓哉

次世代研究者育成センター 佐藤 拓哉

Sato Takuya

 平成23年4月より京都大学次世代研究者育成センター(白眉プロジェクト)の特定助教に着任し、フィールド研に受け入れていただくことになりました。
 私は卒論からこれまで、サケ科魚類やそれを育む森林-河川生態系の保全に関する様々な生態学研究を行ってきました。時には山の中に1カ月以上も泊まりこみ、産卵行動にいそしむイワナたちを毎日観察したりもしました。研究のモットーは、自らが疑問をもった自然現象を科学的に解き明かし、それを保全につなげることです。
 ここ最近の研究課題は、森林と河川をまたぐ様々な資源の移動はサケ科魚類をどのように育み、またサケ科魚類は森林-河川生態系の中でどのような役割を果たすのか?という疑問を解くことです。特に、ハリガネムシという寄生虫が、森の昆虫類(カマドウマやキリギリス類)に寄生・行動操作して河川に飛び込ませることで、森の昆虫類を食べるサケ科魚類を育んでいるという現象に関する研究を進めています。こういった研究を通して、これまで個別に扱われてきた森林と河川管理をうまく融合して、「森林-河川生態系」の保全・管理を進める理論的な枠組みをつくっていければと考えています。
 一方でフィールド研は、森林と河川の繋がりに加えて、人里やさらには海との繋がりを明らかにすることを大きな目標の一つに掲げています。森・川・里・海という生態系は、様々な時空間スケールで様々な資源を受け渡しあって機能する動的なシステムです。そのような巨大なシステムを理解して保全・管理につなげることは、容易ではありません。私は、フィールド研に受け入れていただいたこの好機を生かして、様々な研究分野の方々と情報交換をさせていただく中で、この大きなテーマを解決に導く自分なりのアイデアを絞り出したいと考えています。

教員紹介ページ 佐藤 拓哉

ニュースレター23号 2011年6月 新人紹介