沿岸資源管理学分野 上野 正博
86562608、この数字はWakWak プロジェクトの主なフィールドの一つ、西舞鶴を流れる伊佐津川の名前である。86は管轄する近畿地方建設局の番号。562は京都府と兵庫県の日本海に流入する河川の内、一級河川の由良川水系と円山川水系を除くすべての河川に共通の水系域番号。ちなみに一級河川は別格で、由良川水系は60、円山川水系は63と二桁の番号が振られている。そして、608が伊佐津川の河川コード。
国交省が作成した河川台帳には全国21,408本の河川が、このコードと番号で分類して掲載されているが、これには本流だけではなく支流も載っている。で、この辺からがややこしい。伊佐津川についてみれば、本流の河川コードが562水系域の最後の方になる608なのに、支流の天清川は31、池内川は32、さらに池内川の支流が201から203と、本流よりも支流の方がまるで格上のような扱い。
さらに、川には単位流域番号という別の名前もある。こちらは一つの川については、河口から順に番号が振られ、合流点があると上流に向かって左から番号が振られる。伊佐津川河口は5628、天清川は56210、続く56211は伊佐津川本流なので天清川は右岸側(上流に向かって左側)から合流、そして池内川は56212なのでこれも右岸側から合流で、56213は再び伊佐津川本流。WakWakのフィールドである野田川なんか、支流の河川コードが30番台で単位流域番号が26から39なので、たとえば河川コード35の岩屋川は単位流域番号34、で、単位流域番号35は野田川本流の源流から数えて二番目の単位流域。歴史上の経緯や実務上の理由があるのだろうけど、ややこしいことこの上なし。
なぜ海の研究者である私がこんなことに煩わせられなくてはいかんのだとは思うのだが、とにかく河川環境に関係するいろいろな要因、人口とか土地利用、植生、農業生産、商工業統計などなどを解析するには、この二種の番号をキーにデータ処理を進めるしかないのだ。しかし、ようやく二種の番号を理解した私の前には膨大なデータの山。呆然と日々を過ごしていると朗報が舞い込んできた。このデータの山と格闘しようという卒論生が現れたのである。かくして、3年越しの懸案であったWakWak GIS に一歩前進……かな。
ニュースレター8号 2006年8月 研究ノート