里地生態保全学分野 梅本 信也
森、里、川、海の繋がりを考察するのに必要な基礎体験と基礎知識を得るための森里海連環学実習・紀伊半島編は2006年9月20日から26日まで行われた。北海道大学と京都大学の教員7名および両大学生13名が参加した。初日は紀勢本線周参見駅に集合、古座川最上流にある北海道大学和歌山研究林へ移動、ガイダンスを受けた後に林内見学、2日目は樹木伐採実習などを体験した。3日目は2班に別れ、古座川上流、ダム湖、中流、下流域での水生生物観察・採集ならびに採水、和歌山県水産試験場のご好意による串本湾内での海洋実習が、それぞれに行われた。あいにく台風が南方にあり強い波浪のため、古座川河口付近での調査は行えず、また船酔いのため参加学生の疲労が目立った。夕方からは串本湾南岸にある京大フィールド研・紀伊大島実験所での共同自炊生活が始まり、教員や学生ともども夜遅くまで交歓した。4日目は串本湾岸の半農半漁7地区でのフィールド実習が行われ、現地観察と聞き取り、資料収集ならびにそれらの分析にもとづく里域構成要素相互連環調査実習が行われた。帰還時の目の輝きが印象的であった。5日目は前日実習のレポートを提出後、白浜町にある京大フィールド研・瀬戸臨海実験所に移動、古座川ならびに串本湾域で採水または収集した試料の分析を行った。6日目は水生生物の同定と海と川調査結果のまとめ、夜は懇親会、7日目はレポート作成、全員元気で怪我も無く、午後解散した。
今年度の実習は、前2回の実習での深刻な問題点を踏まえつつ、さらにグレードアップを図る予定であったが、様々な方面に対する相談や準備に思いのほか手間取り、関係学生や関係機関に多大な迷惑をかけたのが残念であった。来年度は、教員の相互理解や連携の少なさを真摯に反省し、様々な創意工夫や稠密で十全な事前打ち合わせにより克服、次回第4回目の実習に向けて実り多き内容に変貌させたいと関係者一同、切に思う次第である。
ニュースレター9号 2006年12月 教育ノート