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学生実習

京都大学「研究林実習Ⅰ」実習報告

8月26~29日の日程で、京都大学農学部森林科学科の実習である2024年度「研究林実習I」を実施しました。8月26日~8月27日と、8月28日から~8月29日までの前半・後半の2グループに分かれての実習でした。前半グループの参加者は29名で、後半グループの参加者は30名でした。

当初は前半・後半ともにそれぞれ2泊3日の予定でしたが、台風接近のため、学生さんの安全を考慮し、急遽1泊2日に変更になりました。芦生研究林の宿泊所は築100年を超えており、老朽化が深刻で、修繕をしているものの、これまでも台風による雨漏りや戸が吹き飛ぶなどの被害が生じています。

前半・後半とも実習内容は同じで、実習1日目は研究林の奥にある標高が高い場所で樹木識別や防鹿柵の見学等を行いました。2日目は研究林の標高が低い場所で樹木識別を行いました。

樹木識別の実習では、代表的な樹木の腊葉(さくよう)標本作成を通じて、樹木の観察や識別のポイントを学びました。標高により自生している樹種に違いがあることや、鹿の影響による林内植生の変化等を、実際に現場で見ることで深く学ぶことができたと思います。

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お知らせ

菌類ワークショップ

 芦生研究林において菌類研究者と一緒にフィールド調査や研究議論を行うワークショップを開催します。
 大学院生を主な対象として、ワークショップへの参加者を募集します。紅葉も深まる研究林を菌類の目線からのぞいてみましょう。

・概要

 菌類多様性研究の促進と若手研究者の育成を目的として、フィールド調査体験とディスカッションを行うワークショップを開催します。
 新進気鋭の菌類研究者に調査を行っていただき、そのプロセスを参加者に共有してもらい、また研究発表や参加者間の自由な議論を行います。  
 今回は、菌類の中でもきのこ(地下生菌・冬虫夏草)や地衣類を中心とした菌類調査と、それらの多様性や系統、生態など幅広いテーマでお話ができると思います。また、芦生研究林や北海道研究林など、フィールド研施設の紹介や調査・研究の相談なども行えます。
 フィールドである芦生研究林は、関西有数のブナ林やトチ・カツラの巨木からなる畦畔林などを含む原生的な冷温帯林が広がっています。研究林内は1000種を超える植物種が記録されており、京都丹波高原国定公園の第1種・第2種と区別地域にも指定されています。自然についての詳細は概要ページをご覧ください。

日時
2024年10月12−14日

講師
橋本陽 (理研BRC)、山本航平 (栃木県立博物館)、升本宙 (信州大)
スタッフ:松岡俊将(京大フィールド研 芦生研究林)、杉山賢子 (京大フィールド研 北海道研究林)

主な対象
全国の大学院生定員:10名程度

参加費
無料 (ただし、芦生研究林までの交通費、宿泊費、食費は実費負担)

宿泊
芦生研究林の宿泊施設を利用(シーツ代550円、宿泊費300円/一泊、学生は宿泊費無料)。
詳細は研究林ホームページの施設参照。

・スケジュール案(詳細は変更になる可能性があります)
10月12日 11時 芦生研究林事務所前に集合

   12日午後と13日終日 研究林内で調査

   13日 夜 講師による研究発表と参加者の研究のフラッシュトーク、試料処理の見学と交流会

10月14日 朝 解散

申し込み
 担当教員の松岡(matsuoka.shunsuke.8e*kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください))までメール
 同一研究室内で複数人の参加希望がある場合は、集約して代表の方から連絡してください。

 申し込み締め切り
 10月4日 (ただし定員に達し次第、受付を終了します)

アクセス
 ホームページをご確認ください。

 また12日と14日はJR園部駅まで送迎を行う予定です。
 人数に限りがありますが希望する方は申し込みの際にお知らせください。

その他
 参加者は各自でイベントや野外活動の保険に加入した上でご参加ください。

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学生実習

公開実習「公開森林実習Ⅰ」実習報告

2024年公開森林実習Ⅰは、2024年9月4日(火)~6日(木)の3日間に開催されました。

実習の目的は、京都における里山と奥山の両方において、森林の歴史や現在の状況(ナラ枯れ・マツ枯れ・シカによる食害・人工林の管理)を体験学習し、森林をめぐる環境問題に対し、科学的な知識や研究手法を習得することです。本拠点事業では特に、地域の人々との交流や活動の体験を通じて、人間社会と森林の関係について考察し、持続的な人と森との関係のあり方を多面的に考えられるようになることを実習の特色として掲げています。

初日は京都市の里山について、上賀茂試験地で講義と実習を行いました。上賀茂試験地では、都市近郊林の自然植生とナラ枯れ・マツ枯れ被害、マツ類を中心とする外国産樹種とその特徴の解説に、受講生は興味深く耳を傾けていました。次に、イオン環境財団と協働で行っている「里山おーぷんらぼ」という、市民参加型の里山活動について、説明と活動場所の見学がありました。さらに、上賀茂試験地技術職員の指導のもと、一人ずつチェンソーを用いた木材の加工体験を行いました。

上賀茂試験地での実習の後、芦生研究林へ移動しました。夕食後に簡単な自己紹介のあと、二つの講義がありました。最初の松岡先生による「芦生研究林の概要説明」では、芦生の森林や生物多様性とその重要性、そしてシカの過採食による森の変化について解説が行われました。続いて、遠隔地会議システムを用いて、北海道研究林の小林先生による「北海道の森林と人との関わり」についての講義が行われました。京都とは自然環境が大きく異なる北海道の森林とその状況を深く掘り下げた内容でした。

2日目は、松岡先生、石原先生、張先生よる講義が行われた後に、芦生研究林内の見学を行いました。講義では、菌類という目に見えない生き物の森でのはたらきや、人と森の関わりについての社会学的な分析について紹介されました。林内では原生的森林の残るエリアを歩きながら、天然林・人工林の観察をしたほか、大規模シカ排除柵の見学を行いました。午後はきのこ班とトチノキ班に分かれ、きのこ相の調査やトチノキの種子の結実量調査を体験しました。そして、芦生のシンボルである大かつらの見学を行いました。受講生からは、「普段立ち寄ることのできない森林で、実際に見聞きした体験は貴重でした。」などの感想がありました。

夕方に、受講生から、それぞれの身近な森についてパワーポイントを使って説明してもらいました。受講生は、異なる地域や視点を持っていることから、一人ひとり全く異なる「森」の姿や人との関わりの紹介が行われ、とても良い交流の契機となりました。夕飯には芦生研究林のある美山町で獲れたシカ肉の料理を味わいました。その後、そのシカを捕獲した美山町で暮らす猟師さんから、猟師としての暮らし、「狩猟」と「駆除」の間で生きる葛藤などについて話を伺いました。普段は交流する機会のない猟師のお話はとても興味深い内容で、講義後は多くの質問が寄せられました。

3日目は午前に茅葺の里での里山景観やその歴史を学んだ後、京都市右京区京北の原木市場を訪問し、原木の競りの現場を見学しました。午後には大学構内にある北白川試験地において北山台杉やナラ枯れの研究および j.Pod(リブフレームによる木造建築)の見学を行いました。最後に、実習の振り返りが行われ、解散となりました。

今年は10名の学生が集まりました。参加者の所属大学は北海道大学(1名)、千葉大学(1名)、筑波大学(1名)、信州大学(1名)、名古屋工業大学(1名)、大阪大学(1名)、近畿大学(1名)、福井県立大学(1名)、大阪産業大学(1名)、(台湾)中央大学(1名)でした。農学部で森林を学ぶ学生だけではなく、水産学部で水産を学ぶ学生や、生物資源学部や工学研究科で都市工学を学ぶ学生など多様な背景を持つ学生が参加してくれました。また、今年は韓国からの交換留学生と台湾からの日本人学生の参加もあり、グローバルな視点の意見交換もできました。

参加した学生からは「様々な角度から森へのアプローチを学ぶことができ、実際に関わっている人の話を聞くことができたのがよかった。」「実際に生活している人々とコミュニケーションをとったり、教員や学生だけでなく技術職員とも様々な話をすることができた点が、普段の実習とは全く違った新しいもので良かった。」「少人数であったため、より深い学びや交流が可能であり、何かしらで一人一人がフォーカスされる場があったためアウトプットをする機会があって良かった。」という感想があり、実習を通じて人と森の多様な関わりや視点を学んでもらえたと思います。

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学生実習

人間環境大学「奥山・里山管理実習」実習報告

2024年8月21-23日の日程で人間環境大学の学生実習「奥山・里山管理実習」が開催され、学生17名が参加しました。

この実習では近畿地方の奥山・里山において、森林生態系の特徴と課題、森と人の関わりを理解することを目的としています

1日目は上賀茂試験地で行われました。新しい里山・里海共創プロジェクト(里山おーぷんらぼ) で取り組む工芸用の樹木の植樹エリアの下刈り体験や、技術職員による炭焼きの説明、チェンソーの使用見学などを通じて、里山の利用や維持管理について学びました。

2日目は芦生研究林で行われました。大規模シカ柵内外の植生変化の見学や、植物班ときのこ班に分かれての調査体験を行い、奥山の自然の特色や生物多様性とその課題について学びました。

3日目は美山かやぶきの里で里地での暮らしを見学しました。その後、北白川試験地に移動して、技術職員による試験地内の説明やj.Pod工法による建物の見学などを行いました。

実習を通じて、奥山の原生的な自然と都市近郊林の里山を五感で感じ、学んでもらえたと思います。

学生からは「シカ柵内外の植生の違いなど、実際に環境を見ることでしか学べないことが多く学べた」「環境だけでなく、その地域の森と人との歴史について学べたのが良かった」といった感想をもらいました。

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学生実習

京都大学「ILASセミナー:有人宇宙学実習」実習報告

2024年8月19~20日に、京都大学全学部生向けのILASセミナー*「有人宇宙学実習」が開催され、9名の学生が参加しました。

1日目は枡上谷にある環境省モニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、毎木調査を体験しました。その日の夜には枡上谷の毎木調査データの解析を行い、森林の炭素蓄積量を推定しました。

2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学して、シカによる過食採を通じ、生物間相互作用や、森林生態系の機能の安定性と回復力について学びました。

参加者の多くは森林分野を専門としていませんでしたが、実地で学ぶことで宇宙分野と森林や生態系の関連性を実感してもらえたかと思います。

実習を引率された土井隆雄先生は、世界で初めての木造人工衛星の開発に携わられており、宇宙開発での木材の有用性の話も聞くことができ、木材の新しい可能性を学ばさせていただきました。芦生研究林のホオノキも人工衛星に活用していただくため提供しています。

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イベント お知らせ

(10月20日開催)京大ウィークス2024 芦生研究林一般公開

広大な敷地を持ち、多様な生物をはぐくむ芦生研究林。
ここがどんな施設でどんな教育や研究が行われているか、皆さんに知っていただくためのイベントです

開催日時 2024年10月20日(日) 10時00分~16時00分 

※気象状況などによりやむを得ず中止とする場合がございます。ご了承ください。
 中止の場合は10月18日(金)に芦生研究林HPにてお知らせいたします。

会  場 フィールド科学教育研究センター芦生研究林(京都府南丹市美山町芦生)

1.教職員の案内による原生林体験 (定員30名、要予約、応募多数の場合は抽選)

2.教職員の案内による森林軌道散策(定員10名、要予約、応募多数の場合は抽選)

3.資料館開放・資料展示など

原生林体験・森林軌道散策案内図はこちら

参加費  無料

対 象  どなたでもご参加いただけます(中学生以下は保護者同伴)

持ち物  弁当、水筒、山歩きに適した服装・履物(長靴は貸出可)、雨具

タイムテーブル

・申し込み方法

 原生林体験・森林軌道散策およびバスでの送迎(JR園部駅~会場)をご希望の方は、以下の申し込みフォームにてご応募ください。
 申し込み多数の場合は抽選となります。また ①原生林体験②森林軌道散策は時間が重複するので、どちらか一方にしかご参加いただけません。

 芦生研究林 一般公開お申し込みはこちら(募集は終了しました。) 
 

 応募受付期間 2024年9月9日(月)~9月30日(月)

・当日のアクセス

 自家用車で来られる場合、京都市内より国道162号線京北周山を経て美山町安掛より府道38号線、出合より芦生方面へ(研究林のアクセスはこちら

・送 迎
 当日はJR園部駅からバスでの送迎も行います。(定員20名、要予約、応募多数の場合は抽選)

 ※JR園部駅~会場間の送迎は原生林体験、軌道散策のオプションとなっております。
 送迎のみはお引き受けできませんのでご了承ください。

・問い合わせ先  TEL:0771-77-0321  E-mail:asiu.event(@マーク)gmail.com
                     (迷惑メール対策のため(@マーク)としております)

※個人情報は当イベント運営のみに使用します。
※イベント保険に加入しますが、保険の範囲を超える賠償はできない場合があります。

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イベント

第4回 芦生の森を次世代へ(KDDI株式会社ボランティア)

 2024年6月16日にKDDI株式会社関西総支社長の江口様をはじめとし、グループ会社・関連会社の社員有志とそのご家族の方々が、環境保全活動(ボランティア)のため芦生研究林に来られました。KDDIの「芦生の森を次世代へ」という活動の一環で、今年で4回目になります。今回は生態系保全のため、ツルニチニチソウ(外来植物)の駆除を行いました。

 午前はまず講義室にて石原林長が研究林の概要説明と、今回の駆除の目的(生態系保全)について解説などを行いました。

その後、構内のツルニチニチソウが生えているエリアに移動し、駆除に使う道具の説明と駆除の実演を石原林長と勝山技術班長、宮城技術職員が行いました。

参加者は当初不慣れな作業に戸惑いがありましたが、すぐにコツをつかまれたようで、暑さをものともせず駆除作業に集中されていました。

午後からは林内に移動し、大カツラの見学を行いました。

大カツラで行われている研究や、大カツラの樹上は地上部と環境が異なるため、地上部とは違った生態系を構築していることなどについて、石原林長から解説がありました。

大カツラ見学後に講義室に戻り、駆除作業の結果報告が行われました。

今回の駆除作業では、全体で184kgのツルニチニチソウを駆除し、個人では最も多く駆除した方が約17kgという結果でした。

外来種駆除作業を通じ、外来種が在来種に与える影響などについて実際に知ることができたと思います。今回の体験により、参加者の皆様が生態系保全や環境問題を考えて下さるきっかけとなれば幸いです。

昨年度の様子はこちら→第3回 芦生の森を次世代へ(KDDI株式会社ボランティア)

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イベント

KDDI関西総支社での生物多様性勉強会

 2024年5月16日にKDDI株式会社において、石原林長と松岡講師によるKDDI社員向けの生物多様性の勉強会が開催されました。芦生研究林とKDDI株式会社は包括連携協定を締結しており、今後の生物多様性の維持・回復に向けた共創事業について互いに学び・議論することを目的に行われました。参加者は、KDDI株式会社ならびにKDDIエンジニアリングなど関係企業の社員、約100名でした。

 まず松岡講師から、「なぜ生物多様性に取組む必要があるのか?」というタイトルで、生物多様性とは何か、なぜ社会は多様性を大切だと考えているのか、そして企業が生物多様性への取り組みで求められることについて、TNFD(自然関連財務情報開示タスクフォース)との関連を含めて講義しました。次に、石原林長から、「企業と大学の関係「協働・共創」は「連携」と何が違うのか?」というタイトルで、企業と大学との共創とはどういったものなのか、現在KDDIと芦生研究林の協働事業に触れながら説明しました。KDDI関西総支社長からは、地球環境が危機的な状況を迎えており、それを理解し、事業を展開していかなければならないとの閉会挨拶がありました。参加した社員からは、「生物多様性についての理解が深まり、通信事業者や個人として出来ることを考えて行動したいと思った」や「生物多様性について、企業としても最優先で取り組まなくてはいけない課題の一つだと感じた」との感想が寄せられました。

次に、KDDI株式会社の見学をさせていただきました。建物と設備、通信インフラの保守・運用や災害時対応といった業務、そして人工衛星を用いた通信システムであるStarlinkの解説とデモを行っていただきました。普段は目にすることない、日本の通信を支える会社設備や、システム化された保守業務について、研究林教職員一同とても興味深く話を聞かせていただきました。

芦生研究林内は、大部分が携帯電話の通信可能エリア外であり、通信環境の向上が大きな課題です。見学中や見学後には、林内におけるStarlinkやKDDI株式会社の持っている通信技術やノウハウの適用可能性について社員と職員が意見を交換しました。加えて、芦生研究林は土砂災害等による孤立化・停電・通信不能に陥ることも多く、災害への対応体制についても、多くのことを学ばせていただきました。

芦生研究林とKDDI株式会社関西総支社は、包括連携協定のもと様々な共同事業を行っています。今回の勉強会が、今後の生物多様性に関する共創事業へと発展していくことを願っています。


 

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学生実習

大阪産業大学「生物資源活用演習」実習報告

 6月29日に大阪産業大学の実習が行われ、10名の学生が芦生研究林を訪れました。 林内では植生回復のための防鹿柵、大カツラの見学を行いました。学生たちはニホンジカの食害や柵による植生の回復、ツキノワグマがスギの樹皮を剥いだクマ剥ぎなどを見学し、技術職員や赤石大輔准教授(大阪産業大学)から解説を受けました。学生たちはカメ、昆虫などを見つけて写真を撮ったり、触れてみたり、興味津津でした。
 下山後にはリニューアルオープンした資料館の見学を行いました。資料館の剥製や昆虫標本などを熱心に見学されていました。

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学生実習

公開実習「公開森林実習Ⅰ」実習報告

 2023年公開森林実習Ⅰは、2023年9月6日(火)~8日(木)の3日間、全国の8大学から集まった9名の学生を対象に開催しました。実習目的は、京都における里山と奥山の両方を体験し、森林の歴史や現在の状況(ナラ枯れ・マツ枯れ・シカによる食害)を学習し、森林をめぐる環境問題に対し、科学的な知識や研究手法を習得すること、加えて、地域の人々の活動を体験することを通じて、人間社会と森林の関係について考察し、多面的な視野から持続的な森と人との関係のあり方を考えられるようになることです。

 初日は京都市の里山について、上賀茂試験地で講義と野外実習を行いました。上賀茂試験地では都市近郊林の自然植生とナラ枯れ・マツ枯れ被害、マツ類を中心とする外国産樹種とその特徴の解説に、受講生は興味深く耳を傾けていました。上賀茂試験地技術職員の指導のもと、チェンソーの体験を行いました。上賀茂試験地での実習の後、芦生研究林へ移動しました。夕食後に自己紹介の時間を設け、受講生から、それぞれの身近な森についてひとりずつパワーポイントを使って説明してもらいました。「身の回りの森林について発表する機会があったおかげでお互いのバックグラウンドを知ったり、それぞれの興味知ったり実習に対するモチベーションが上がったりしました。」といった声があり、良い交流の契機となりました。その後に二つのオンライン講義を行いました。最初の石原先生による「芦生の概要説明」の講義では、芦生の森林に関する基本的な情報とその重要性について学びました。続いて、遠隔地会議システムを用いて、北海道研究林の小林先生による「北海道の森林と人との関わり」についての講義が行われました。自然環境が大きく異なる北海道の森林と状況を深く掘り下げた内容でした。

 2日目は原生的森林の残る芦生研究林上谷を歩きながら、天然林・人工林の観察をしたほか、大規模シカ排除柵の見学を行いました。午後はきのこ班とトチノキ班に分かれ、きのこ相の調査やトチノキの種子の結実量調査を体験しました。受講生からは、「芦生研究林は想像していたより広大で普段見ている実習林とは異なる樹種ばかりだったのでとても新鮮で楽しかったです。」などの感想がきかれました。夕方にシカ肉料理を味わったあと、夜には美山町の猟師さんから、猟師としての暮らし、「狩猟」と「駆除」を生きる葛藤などについて話を伺いました。とても興味深い内容で、講義後は多くの質問が寄せられました。

 3日目は午前に茅葺の里や京都市右京区京北の原木市場を訪問し、午後には大学構内にある北白川試験地において北山台杉やナラ枯れの研究および j.Pod(リブフレームによる木造建築)の見学を行い、解散となりました。

 本実習には、同志社大学(1名)、鳥取大学(1名)、東北大学(1名)、琉球大学(2名)、静岡大学(1名)、福井県立大学(1名)、近畿大学(1名)、酪農学園大学(1名)、近畿大学(1名)から、農学部生だけではなく理工学部と生物資源学部の学部生の参加もありました。女性5名、男性4名、北(北海道)から南(沖縄)までの各地から集まり、意見交換が活発でした。「沖縄から北海道までいろいろな地域から同じ実習に興味を持った人が集まることで、森に対する多様な見方を知ることが出来ました。」という受講生の声があったように、今年も大変賑やかな実習となりました。