平成21年度における受賞・表彰

(凡例)
1) 受賞した人の氏名:(連名の場合はすべて)
2) 受賞論文等のタイトル
3) 賞の名称 第○回○○学会大会○○部門○○賞 ○年×月
4) 発表内容の要約、受賞理由など(簡単に)

1) 益田玲爾・山下 洋・松山倫也
2) マアジ稚魚はクラゲを捕食者回避のためおよび餌のコレクターとして利用する
3) 日本水産学会論文賞受賞 日本水産学会春季大会 2009年 3月
4) マアジの稚魚がクラゲに寄り付く生態的な理由について、室内実験と潜水観察の両面から明らかにしようとしている。飼育実験は舞鶴水産実験所で、また潜水観察は若狭湾沿岸のフィールドで行った。

1) 向井宏
3) H21年「みどりの日」自然環境功労者環境大臣表彰 調査・学術研究部門 2009年 4月
4) 主に北海道、沖縄沿岸域で海草藻場やベントスの調査研究を行うとともに、長年、国の調査委員会の委員や座長等を勤めるなど我が国の浅海域の調査・研究及びその保全に貢献。

1) 藤井弘明
3) 第11回森林管理技術賞 平成21年度全国大学演習林協議会 2009年 9月
4) 1)フィールド研の研究の中核となる森林生態系のモニタリングサイトの設定と観測体制整備に多大な貢献をした。
2)多くの資格と実務経験は、若い技術職員へ高度な管理技術を伝え、さらに、学内外の森林教育、林業行政機関等の社会事業にも貢献した。
3)急傾斜地スギ人工林の保育作業の標準化と基盤整備技術に貢献した。

1) 谷尾陽一・大手信人・藤本将光・吉岡崇仁
2) 二つの森林流域における渓流内での栄養塩の取り込み
3) 優秀ポスター賞 日本陸水学会第74回大会 2009年 9月
4) 芦生研究林および不動寺水文試験地内の渓流において、上流で添加した栄養塩類(リン酸塩と硝酸塩)が渓流内で取り込まれる現象を報告した。また、河床表層以下数cmの堆積物中において、溶存有機態炭素やアンモニウムイオン濃度が渓流水中の濃度よりも数倍以上高く、かつこれらが1~2時間程度の栄養塩の添加により大きく減少するなど、河川内物質動態を明らかとする上で大変興味深い現象を見いだした。芦生研究林のように流量や水質などの長期観測が行われているフィールドにおいて山地渓流内での水質形成機構の研究が行われることは、森林生態系における栄養塩循環を明らかにするためにも非常に大きな意義をもっており、受賞理由として評価された。

1) 陳 炳善
2) 生理生態学的特性を基礎とした宮古湾におけるクロソイの種苗生産と放流技術に関する研究
3) 岩手県知事賞 平成21年度岩手県 三陸海域研究論文集 2009年 10月
4) 栽培漁業における有望な対象種であるクロソイについて、効率的な種苗生産手法と放流技術を開発した。種苗生産手法では、最適な餌料系列とその量、水温、塩分を解明した。放流手法では、最適な放流場所と放流時期を明らかにし、これらの技術を基礎とした放流により高い回収率が得られることを実証した。また、放流後の天然クロソイと放流クロソイの相互関係や生産力の利用実態を分析し、新たな放流環境収容力の概念を提案した。

1) 福西悠一・益田玲爾・Dominique Robert・山下洋
2) マダイとクロダイにおける天然稚魚と飼育稚魚のUV-B耐性の比較
3) 優秀口頭発表賞 第33回国際仔稚魚学会 2009年 10月
4) マダイ稚魚の天然魚と飼育魚の紫外線耐性に差はないが、クロダイの稚魚では、飼育魚よりも天然魚の方が強い紫外線耐性を持ち、かつ黒色素胞の数が多いことを報告している。稚魚が天然海域において紫外線への順応性を獲得できる可能性が示されたことから、飼育魚だけを用いて紫外線が魚類に及ぼす影響を評価することに対し警鐘を鳴らしている。

1) 鈴木啓太・中山耕至・ 田中 克
2) 有明海流入河川の低塩分汽水域における浮遊性カイアシ類優占種の水平分布-特産種と非特産種の比較-
3) 学生優秀発表賞 日本プランクトン学会 2009年 10月
4) 有明海の特産カイアシ類が高濁度低塩分汽水域に特化した生態を示すことを、非特産種との比較により明らかにした。

1) 髙橋宏司・益田玲爾・山下洋
2) 海産魚マアジの学習能力の個体発生に伴う変化
3) 優秀発表賞(ポスター発表) 日本動物心理学会 第69回大会 2009年 11月
4) 舞鶴周辺の海域で採集した体長2-9cmのマアジについて、Y字迷路を用いて学習能力を調べ、体長5cmを境に学習能力が急激に高まることを報告した。稚魚の採集場所(沖合または沿岸)によって学習能力に差がないことから、学習能力の発達は個体発生に伴う内的な変化によるものであろうと考察している。

1) 宮島悠子・益田玲爾・山下洋
2) エチゼンクラゲに対するウマヅラハギの捕食圧の推定
3) ベストプレゼンテーション賞 平成21度日本水産学会中国・四国支部大会 2009年 11月
4) 舞鶴市冠島周辺で採集したエチゼンクラゲとウマヅラハギをフィールド研舞鶴水産実験所へ持ち帰り、ウマヅラハギに活きたエチゼンクラゲを与えて捕食量を測定した。また、摂餌行動の観察(朝5時から夜7時まで毎時1回および夜11時の目視観察)や、天然で採集されたウマヅラハギの胃内容物調査も行っている。一連の研究から、ウマヅラハギは一日で自分の体重の約10倍ものエチゼンクラゲを消費することが示された。

1) 白澤紘明・大塚和美・長谷川尚史
2) 植栽作業功程および初期育林経費の推算
3) 学生優秀発表賞 森林利用学会 第16回学術研究発表会 2009年 11月
4) 初期育林経費を推算するため,地形情報を考慮した植栽作業の詳細なシミュレーションモデルを構築した。初期育林費用の低減は持続的森林管理に大変重要な要素となっているが,こうしたモデル構築はこれまで行われてこなかったこと,また植栽時の歩行ルートの選定を含めた緻密なモデル構築が高く評価された。

1) 秋山諭・上野正博・山下洋
2) 由良川河口域におけるニホンハマアミの行動日周性
3) 優秀発表賞 平成21年度日本水産学会近畿支部後期例会 2009年 12月
4) 由良川河口域において24時間の連続調査を2回実施し、ヒラメやスズキ稚魚にとって最も重要な餌生物であるニホンハマアミ(Orientomysis japonica)の行動日周性を調べた。夜間鉛直的な分布層を海底直上から若干上方へ拡大する傾向が見られたが、海底から20cmを越える水柱で採集された個体は、全体の数%以下であった。また、夜間に摂餌活動が活発になる日周性が認められた。

ニュースレター19号  2010年3月