新人紹介 笠井 亮秀

海洋生物環境学分野 准教授 笠井 亮秀

 2013年4月1日付で、所属する研究室(海洋生物環境学分野)が流動分野として農学研究科応用生物科学専攻よりフィールド研に移動となるのにともない、フィールド研に仲間入りさせていただくことになりました。
 私は気象大学校を卒業後、東京大学海洋研究所で大学院の5年間をすごし、1994年に京都大学に参りました。大学時代の卒業研究では、北太平洋スケールの海洋大循環を、大学院時代は九州南岸から三陸沖合にかけての魚卵稚仔輸送・生残を、そして京都に来てからは内湾スケールの環境と生物の関わり合いについて、研究してきました。最近は、フィールド研の主テーマである森里海連環学の一環として、河口域や河川での物質移動や低次生産についての研究も行っています。こうして振り返ってみると、水平スケールがどんどん小さくなってきているように思います。
 日本人はたくさん魚介類を食べますが、その多くは天然資源に依るものです。これは農業や畜産業などの他の一次産業とは異なる、水産業の大きな特徴です。そして天然の魚介類の多くは多産であり、成体にまで育つのは生まれた卵稚仔のほんの一部にすぎません。ですから、産卵場や生育場として利用される河口や沿岸域は、魚介類のバイオマスや漁獲量を左右する、非常に重要な役目を担っています。今後もおいしい魚を食べ続けていくためには、河口・沿岸域の環境を維持・改善していく必要があります。
 京都大学の伝統であるフィールドワークを継承・発展させていく上で、フィールド研の一員となれたことは、私にとって、またと無い幸運です。これからも学生を連れて海や川に出かけていき、子供に負けないくらい日焼けしながら、研究を続けていきたいと思っています。今後ともよろしくお願いいたします。

ニュースレター30号 2013年8月 新人紹介