舞根森里海研究所竣工式

里海生態保全学分野 山下 洋

 舞根(もうね)森里海研究所(宮城県気仙沼市)の竣工式が、平成26年4月26日にとり行われました。本研究所は日本財団の助成により建設され、NPO 法人「森は海の恋人」が管理・運営の中心的役割を果たし、京都大学フィールド科学教育研究センター(フィールド研)は日本財団とともに運営をサポート致します。
 フィールド研は、気仙沼舞根地区に本拠をおくNPO 法人「森は海の恋人」理事長の畠山重篤氏に社会連携教授をお願いし、講義や少人数セミナーの実施、シンポジウム講演など、森里海連環学に関する教育活動において様々な形で連携してきました。平成23年3月11日の東日本大震災では、京都大学を中心としたいくつかの大学からなる調査チームが、震災直後の5月から気仙沼地域に入り、津波や地盤沈下の被害を受けた森から海までの環境と生態系の調査を現在まで継続しています。その中で、フィールドにおいて森里海連環学を実践できる教育研究拠点として、また、森里海連環学を被災地域の復興にも役立てるために、舞根森里海研究所を建設する構想が生まれました。この企画をフィールド研の森里海連環学を長年支援してくださっている日本財団に相談したところ、多大な助成を頂けることとなり、思いもよらない短い期間にこの構想が現実のものとなったのです。
 竣工式の当日は満開の桜、好天に恵まれ、午前中にお祓いと関係者及び来賓の挨拶などフォーマルな式が行われました。午後は地域の皆さんもたくさん参加して、畠山重篤氏とフリーアナウンサーの住吉美紀氏とのゆかいなトークやクラシックギターの世界的な名手であるソンコ・マージュ氏の演奏を楽しむなど、なごやかな雰囲気の竣工式となりました。本研究所は鉄筋2階建て、延べ床面積498m、1階には飼育実験室、多目的スペース、調査機材用倉庫、2階は事務室、図書室、会議室、分析室で構成されています。分析室には顕微鏡、水質分析用沪過機器、冷凍冷蔵庫などが整備されており、今後さらに機器の充実が望まれます。フィールド研も、森から海までの多様な研究やフィールド実習の拠点として、積極的に活用していきたいと思います。

ニュースレター33号 2014年6月
年報12号 2014年度