舞鶴水産実験所 企画展 「若狭湾の生き物の不思議」および施設見学会

2014年10月11日(土)・12日(日)、舞鶴水産実験所において 企画展 「若狭湾の生き物の不思議」および施設見学会を行いました(京大ウィークス参加イベント・参加者 初日121人、2日目140人)。

(報告)

里海生態保全学分野 助教 甲斐嘉晃

 舞鶴水産実験所では、10月11日(土)および 12日(日)に京大ウィークスの一環として、企画展「若狭湾の生き物の不思議展」の開催と施設見学会を行った。これまで、舞鶴市主催のイベントの中で企画展を行うことはあったが、今回は実験所単独の開催であったため、交通の便の悪い実験所までどのくらいの方に来ていただけるかが一番の心配であ った。しかし、天候にも恵まれ、11日は 121人、12日は 140人の方々に実験所を訪問していただいた。
 所内には広く見学コースを設け、飼育棟とその前に設置したタッチプール、海辺の道を海洋教育研究船緑洋丸と白浪丸を見ながら標本館へ移動し、玄関前でのリュウグウノツカイの標本の展示、さらに実習室ではマダイの学習実験のデモンストレーション、骨格二重染色標本の展示やプランクトンの観察、そして、2階標本庫の見学をできるようにした。また、1日に 3回、時間を決めて、実験所スタッフが解説を行う見学ツアーも行った。タッチプールでは、舞鶴湾内で見られる魚類のほか、ナマコ類や貝類を自由に触れ、観察できるようにした。特に子どもには好評で、17時の終了時間ぎりぎりまで遊ぶ姿が見られた。標本館内の実習室では、大学院生によるマダイの学習実験の様子を実際に見ていただいた。大学院生が解説を行いながら、マダイが輪くぐりを成功させると、時に拍手がわき上がっていた。このような学習実験が、水産業にどのような効果をもたらすかについての説明もあり、来場者は納得の表情であった。また、当実験所が誇る 30 万点以上の魚類標本が保管されている標本庫の公開では、特に舞鶴湾に生息する希少なハゼ科魚類の発見についての説明を行った。身近な生物の多様性保全に実験所が果たした役割を来場者に理解していただけたのではないかと考えている。
 来場者からはさまざまな意見が聞かれ、「舞鶴にこんな施設があるとは知らず、感動した」や、「京大の施設があることは知っていたが、初めて研究内容を知ることができた」という声が多く聞かれた。また、所内には戦争遺跡とも言える弾薬倉庫も残っているが、地元舞鶴の来場者からはそのような建物の存在も印象に残ったという声も聞かれた。当実験所で行っているさまざまなフィールド調査では、地域の協力なしには行えないものも多い。このような企画展や見学会を通じて、研究活動について地域に理解していただく機会を設けることは、実験所にとっても大変意義深いものであると感じられた。今後も京大ウィークスなどを通じてこのような機会を設けたいと考えている。

年報12号

(当日の様子)

 ※会場が舞鶴赤レンガパークから舞鶴水産実験所(舞鶴市長浜)へ変更となりました。
 ※当日の午前8時の段階で舞鶴を含む地域に何らかの気象警報が発令されている場合、その日の開催を中止します。(14-10-06追加)

MaizuruKikakuten2014

〔概要〕
 実験所の標本館に保管されている珍しい魚の標本を見ていただきます。飼育棟に展示スペースを設置し、実際に研究で使われている魚類の展示を行います。タッチプールも設置し若狭湾に生息する無脊椎動物に触れていただきます。

日 時:10月11日(土)・12日(日) 10:00-17:00

  見学ツアー(各回 先着20名)
  11:00-11:30、14:00-14:30、16:00-16:30

会 場:舞鶴水産実験所(京都府舞鶴市長浜無番地)

対象者:どなたでもご参加いただけます。

  ※参加無料、申込不要

問い合わせ先:舞鶴水産実験所(京都府舞鶴市字長浜無番地)
  Tel: 0773-62-5512
  E-mail: maizuru*adm.kais.kyoto-u.ac.jp (*を@に変えてください)