小面積皆伐による森林育成

小面積皆伐による森林育成

北海道研究林 柴田 泰征

 北海道研究林標茶区では、カラマツ林分の小面積での皆伐を直営により実施しました。学生実習用植栽地の確保、林齢構造の平準化、施業見本林の整備など多面的な目的を持って、環境に負荷のない範囲での森林の再構成を進めていく予定です。
 4林班のカラマツ人工林約12ha と9ha の2つの林分を約0.5ha ずつ40区画に分け、毎年交互に伐採、植栽し、伐期を40年として森林を育成していく計画です。将来は隣接する区画が2年違いの大きさで育ち、カラマツが階段状の林分になるイメージになります。この育成法は、長期的に継続した実施が必要で、技術職員による直営で作業できることが重要になります。
 作業は、チェンソーによる伐採と枝払い、油圧ショベル(グラップル)による木寄せ、林業用トラクタによる中出し運材、土場での造材(玉切)、ホイールローダーによる丸太のはい積みです。最も技術が必要な作業は、木寄せする方向への正確な伐倒で、重心が偏った立木の伐倒は難しくクサビを数本打って倒します。また、林業機械での作業はそれぞれ相応の作業区域が必要なため、搬出量を調整します。作業ではチェンソーをはじめ様々な林業機械を使用しますが、長年使っているものが多く、作業中の調整や修理に時間をとられるため、労働生産性は必ずしも高くありません。それ以上に安全には十分な注意が必要なため、個別作業の注意点を確認し、さらに個々の機械特性や癖なども注意して作業を行っています。
 技術職員によって皆伐された林地では、翌年に学生実習で植栽実習を行います。植栽実習はこの20年来実施しておらず、学生には貴重な体験になると考えています。また植栽から管理、伐採といった木材生産までの一連のサイクルを集約した施業見本林として活用できます。学生実習や研究へ活用するために、このような森林育成を継続していくためには、老朽化が進む林業機械の更新や安全に行える技術の継承が不可欠だと考えています。

ニュースレター38号 2016年2月 技術ノート