京都大学・日本財団森里海地域連携セミナー「淡路島の森里海連環の知恵」

森里海連環学教育ユニット 吉積 巳貴

 2015年11月2日、南あわじ市の NPO 法人ソーシャルデザインセンター淡路(SODA)島の学舎(まなびや)にて、2015年度京都大学・日本財団森里海地域連携セミナー「淡路島の森里海連環の知恵」を開催しました。本セミナーは、淡路島における森里海連環の伝統的な知恵や新たな挑戦について学び、地方創生に向けた地域づくりを再構築する実践方法を考えることを目的として実施し、40人が参加しました。
 セミナーの第1部では、「淡路島における“森里海連環”いにしえの古の知恵」をテーマに、淡路地方史研究会会長の武田信一氏より「海・山の恵みと暮らし」、そして霊長類研究所副所長の湯本貴和教授より「淡路島の魚付保安林」の話題提供をしていただきました。第2部では、「淡路島における“森里海連環”の新しい挑戦」をテーマに、南あわじ市で研究を実施している地球環境学舎 M2の志波陽介氏から「漁師がつなぐ里山・里海交流活動」、そして森里海連環学教育プログラム履修生でもある地球環境学舎 M2の平井聡氏より「福良の地域資源を活用した住民自立型地域づくり」というテーマで研究成果発表が行われました。また SODA 理事長木田薫氏から「未来を担う人づくりと持続可能な地域づくり」の発表が行われました。第3部には「淡路島の森里海連環の知恵と持続可能な地域づくり」をテーマに、吉積巳貴特定准教授のコーディネートのもと5人のパネリストとパネルディスカッションを行い、参加した地元住民や行政担当者、そして学生、研究者との間で活発な議論が行われました。その一つを紹介すると、森里海の連環を研究や政策の面からはどう考えていくとよいか、という問題提起が挙がり、参加者の間で活発な討論がありました。また、環境配慮型農法で生産されたお米を例に議論が進み、これからの時代は「環境に配慮するのは当然で、その上でおいしいのがいい」という価値観が主流になるであろうし、「環境に配慮していなくても安ければいい」という考え方は自然や将来世代の得るべき価値を不当に買い叩いているのと同じであるから、「本来支払うべきコストを社会的に確実に支払い、還元していけるような制度作りが重要であろう」という意見にまとまりました。最後に、滋賀県琵琶湖環境科学センター長、及び吉備国際大学地域創成農学部教授、そして京都大学名誉教授である内藤正明氏より総括が行われ、今後このようなセミナーを定期的に開催したいとの地元からの意見の中で閉会しました。

ニュースレター38号 2016年2月 社会連携ノート