森林育成学分野 准教授 石原 正恵
2016年10月に准教授として着任しました。フィールド研には実習を受ける学部生としてお世話になって以来、調査をする院生として、財団法人自然環境研究センターの職員として、木文化プロジェクトの特定研究員として、そして他大学のポスドクや教員として、15年以上お世話になってきました。今後は、これまでの経験を活かし、フィールド研の教育研究の発展に寄与できればと考えています。
私の専門は森林生態学で、樹木の生態をベースに、森林、特に天然生林の樹木種の多様性や生産性を研究しています。我々人間と比べると、森はとても広くそして大きく、また長い時間をかけてできていきます。そのため、人間が森を理解するのはなかなか難しいものがあります。
従来の研究は、個々の研究者が一つの森林、多くてもせいぜい十数個の森林に調査区を作り、データを解析するという手法が一般的でした。そのため、森林間で異なる結果が得られても、調査・解析方法からくる違いなのか、それとも森林間で本当に違うのか、よく分からないという問題がありました。
そこで私は、数十~数千の多地点データを統一的に解析することで、普遍的な傾向や森林間の違いを見出し、種多様性や生産性を決めるメカニズムに迫れるのではないかと考えています。長期生態学研究ネットワーク(LTER)やモニタリングサイト1000といった研究ネットワークのデータ、既存文献から収集したデータ、研究者の方に提供していただいたデータの解析を進めています。同時に、こうしたデータをデータペーパー(データに関する査読付き論文)として公開してきました。
今後も様々な研究者の方と協力しながら、森と人間社会との関係も含め研究していきたいと考えています。
ニュースレター41号 2017年2月 新人紹介