特定自主検査の検査員資格取得と定期検査の実施

和歌山研究林 勝山 智憲

 フィールド研森林系施設では調査研究および林内の維持管理や路網整備のために、多数の車両系建設機械を保有しています。これらの機械は法律により1年に1回有資格者による定期検査を必ず行わなければなりません(特定自主検査)。この検査は、労働安全衛生法が定める研修及び検査実習を修了した者が行うこととされており、事業者が社内の有資格者に保有する機械を検査させる方法と、業者に検査を依頼する方法の2種類があります。

 森林系施設ではこれまで、検査業者に点検をお願いしてきました。しかし、どの森林系施設も検査業者から遠方にあるため出張経費が高く、整備代金を含めると機械の点検だけで運営費の多くを費やすことになり、年々その額が大きくなってきていました。経費削減のため、何とか自助努力でできることはないかと事業内検査の資格取得に向けて情報を集めたところ、大学の施設においても資格が使用できることが確認できたため、2019年6月に講習を受け、資格を取得しました。2019年11月より、京都府と和歌山県にある4施設の対象機械8台について検査を行っています。検査はエンジン、走行装置、作業装置、油圧装置、安全装置、車体関係について特殊工具を用いて細かく点検します。オイル交換も行います。

 独自に検査を行うことで、特定自主検査費用の多くを削減でき、なおかつ、機械の構造、仕組みを勉強できたことから、資格取得の効果は大きかったと自負しています。今後、知識と技術の継続的な習得が必要ですが、重機は教育研究のための路網整備に欠かせない存在ですので、日々の機械メンテナンスを行いながら、調査研究を安全かつ効率的に実行できるよう、機械の保持に努めていきたいと思います。

ニュースレター52号 2020年11月 技術ノート