シンポジウム「マクロ生物学百花繚乱~世界一周~」

森林情報学分野 講師 小林和也

 「マクロ生物学百花繚乱 Symposium of Integrative Biology」は,京都大学に所属し同じように生物の生態を研究しているにもかかわらず,普段は各部局や学会,研究分野といった単位で区切られてしまい,交流の少ない生物学者間の交流を促すため,生態学研究センターの宇野裕美特定准教授が中心となって企画され,京都大学全学経費の支援を受け,生態学研究センターが主催し,フィールド科学教育研究センターのほか,野生動物研究センター,霊長類研究所,理学研究科,農学研究科の共催によって過去2 回開催された。
 ことの始まりは,2018 年,北海道標茶でも夏が始まろうとしていた7 月末に宇野さんが北海道研究林標茶区を訪れていた際,国際的なシンポジウムを企画しており,それに加わってもらえないかと相談を受けたことであった。おりしもインド科学アカデミー元会長であるガダカール教授が京都に来日されるとのことでミニシンポジウムを企画していたにもかかわらず,先方の都合で急遽キャンセルとなってしまい,中止の手続きを進めようとしていた私にとって,改めてガダカール教授の来日機会を得られる朗報であった。その場で,事情を説明し,是非にとの返事を頂いて,2019年2月21・22日に第1回となる「マクロ生物学百花繚乱 ~アジアの生物多様性~ Symposium of Integrative Biology:Biodiversity in Asia」が開催されるにいたった。2 月21 日には162 人(学内119 人,学外43 人)の参加があり,22日に生態学研究センターで開かれたドローンワークショップには61 人が参加と盛況に終わることができた。特に21日のシンポジウムではアジアの著名な研究者達の講演が聞けるということもあって,留学生など外国籍の参加者が162人中42人であった。
 第2 回となる2019 年度は「マクロ生物学百花繚乱 ~世界一周~ Symposium of Integrative Biology: World Tour」と題して,アジアにとどまらず世界各地で活躍する著名な研究者を招聘し,2019 年11 月11~12 日に開催された。11月11 日には講演会とポスター合わせて183 人(学内135 人,学外48 人)の参加があり,昨年に引き続き盛況であった。12 日に石原林長ご協力のもと芦生研究林で開催したワークショップには52 人が参加し,紅葉した芦生の森で魚・昆虫・両生爬虫類・菌類などのテーマに分かれて林内を散策し,研究者間の交流と自然観察を行った。
 いずれの企画も同じ京都大学に所属していても普段は話の出来る機会が限られている研究者間はもとより,学内の留学生や京都大学以外からの参加者があり,それぞれの視点を持ち寄った活発な議論が交わされる良い機会が得られ,周辺からも大変好評であった。

年報17号 2019年度