若狭湾秋季の水産海洋生物実習

舞鶴水産実験所 福西 悠一


 舞鶴水産実験所では、文部科学省教育関係共同利用拠点として認定されたことを受け、全国の学生を対象とした公開実習「若狭湾秋季の水産海洋生物実習」を9月24~29日に実施しました。本実習の開催は今年度が初めてですが、日本各地から応募があり、定員10名、満員御礼となりました。
 この実習は、フィールド調査を中心として、日本海固有の海洋環境と海洋生物生産の仕組みを学ぶことを目的に開催されました。乗船実習では、舞鶴湾で海洋観測と桁網によるベントス採集を行い、地点による生物相の違いと人間活動の影響を考察しました。由良川河口域から丹後半島沖にかけての水深別調査(5~200m)も計画していましたが、こちらは残念ながら天候不順により中止。その代替プランとして、DNA 分析によるスジハゼ3種の同定実験を実施しました。その他にも、シュノーケリング講習とこれによる魚類相の観察、魚市場見学、魚類標本の作製、水族館(丹後魚っ知館)のバックヤード見学等を行っています。
 参加した学生は、遠方より舞鶴に来るだけのことはあって、モティベーションが非常に高く、終始新しいことを吸収しようとする意気込みが感じられました。その真摯な姿勢に刺激され、教職員の指導にも自然と熱が入ります。実習終了後に感想を聞いたところ、自然に触れながら海洋学や海洋生物学の基礎を幅広く学ぶことができ、有意義で楽しい時間を過ごせたとの声が聞かれました。また、他大学の学生に良い刺激を受け、新たな繋がりができたことも大きな収穫だったようです。今後も実習を通して、学生の海や研究に対する興味を引き出し、日本の将来を担う人材の育成に微力ながら貢献できればと思います。

ニュースレター28号 2012年10月 教育ノート