2013年3月27日、東京海洋大学(品川)で開催された平成25年度日本水産学会春季大会において、髙橋宏司氏(舞鶴水産実験所 研究員)が、日本水産学会論文賞を受賞しました。
髙橋宏司・益田玲爾・山下 洋(フィールド研)
School for learning: sharing and transmission of feeding information in jack mackerel Trachurus japonicus juveniles. Fisheries Science 78 (2): 269-276.
(学習のための群れ:マアジ稚魚における餌情報の共有と伝達)
フィールド研舞鶴水産実験所の研究員・教員らが著者となる上記の論文が,日本水産学会の英文誌Fisheries Science の論文賞を受賞し,2013年3月27日に東京海洋大学(品川)で開催された同学会の総会において表彰された.なお,2012年に同誌に投稿された論文298本のうち,掲載を受諾された論文は125本,そのうち4本が編集委員約30名の投票により受賞論文の栄誉に浴した.投稿された全論文のうちの1.3%と考えると,相当の強運である.
論文の内容は,第一著者の髙橋宏司研究員が舞鶴水産実験所において大学院博士課程の研究として行った実験にもとづく.本研究では,単独または集団のマアジに餌場に関する学習課題を与え,学習した行動を示す個体の割合は単独よりも集団区で多いことを明らかにした.また,学習個体の行動を水槽越しに観察した個体では,対照の非観察個体に比べて,学習がすみやかに成立することを見出した.
個人的には,上記論文のタイトルが気に入っている.英語で「群れ」を表すschoolは,基本の意味はもちろん「学校」である.しかるに,本論文のタイトルは研究内容から「学習のための群れ」と訳したが,同時に「学びの場としての学校」あるいは「学校は勉強するところ」ともとれる.受賞を機に,学生・研究員らともども,さらなる研鑽を積みたいものだ.
文責:益田玲爾(フィールド研・准教授)