Nippon Foundation-POGO Centre of Excellence in Observational Oceanographyに参加して

京都大学 農学研究科 応用生物科学専攻 里海生態保全学分野 博士後期課程 鈴木健太郎


 Nippon Foundation-POGO Centre of Excellence  in Observational Oceanography (NF-POGO CofE)とは、地球規模での海洋学の発展に尽力するPOGO (The Partnership for Observation of the Global Oceans)と日本財団が協力し、2008年から始まった教育プログラムです。発展途上国での海洋学の発展と、地球規模での海洋学のネットワークの構築を目的とし、選ばれた10人の若手研究者がバミューダ諸島にあるThe Bermuda Institute of Ocean Sciences、 Inc。 (BIOS)に招かれ、 10ヶ月間海洋学のいろはを叩き込まれます。
 私は卒業論文、修士論文で、京都府北部の由良川を対象に陸域-河川-河口域のつながりを懸濁態有機物と底棲生物に着目して研究しましたが、将来的には対象を海洋にまで拡げたいと思い、2009年8月から翌年10月まで、本プログラムに参加しました。
 初めの7ヶ月間は、海洋物理学、海洋化学、海洋生物学、リモートセンシング、生態系モデルなどを、朝から晩まで毎日教え込まれ、最後の3ヶ月は個人研究に割り当てられました。英語の授業は大変でしたが、何もかもが新しく刺激的で、科学の視点が飛躍的に拡がることとなりました。私は海洋化学の授業で研究プロジェクトのリーダーに選ばれ、研究、文化ともにバックグラウンドの異なる10人からなるチームをまとめるという稀有な体験もしました。また、最前線で活躍する研究者と話し合う貴重な機会でした。BIOSでは、20ヶ国程度の研究者と知り合うことができました。講義や実習で得た知識も重要ですが、本プログラムで得た人脈はそれに勝るとも劣らない私の生涯の宝物です。
 あっという間の10ヶ月でしたが、若い間にこのような貴重な経験ができたことは、今後の人生において大きな肥やしになると確信しています。本プログラム参加にあたりお世話になった、日本財団、POGO、BIOS、京都大学農学研究科、フィールド研の皆さまにこの場を借りて御礼申し上げます。

ニュースレター20号 2010年8月 ニュース