森林情報学分野 助教 杉山 賢子、准教授 小林 和也
2023 年9 月26 日から30 日にかけて、北海道研究林標茶区において、ILAS セミナー「北海道のきのこの生き方と多様性」を開催しました。本実習は、北海道研究林でのきのこ相調査や菌類の機能に関する講義解説を通じて、森林における菌類の多様性と機能の一端に触れてもらうことを目的とするものです。今年度初開講となった本実習には、6 人の学生が参加しました。
27 日-28 日は、北海道研究林の広葉樹天然林とトドマツ人工林という2 タイプの林できのこ相調査を行い、林相の違いがきのこの多様性や機能群組成にどのような違いをもたらしているのかを考察しました。調査では100 種を超えるきのこが記録され、受講生は図鑑と格闘しながらきのこの同定を行いました。29 日には、芦生研究林で同時開催の「ILAS セミナー:芦生研究林の菌類多様性に触れよう」とZoom で接続して植生やきのこ相の比較を行い、芦生と北海道でのきのこ相の違いを実感しました。きのこの多様性というテーマで課したレポートでは、林間でのきのこ相の違いがどのような要因で説明されるかについて、きのこの機能による環境応答の違いを含めて考察したものが多く、菌類の多様性と機能に触れてもらうという当初の目的が達成できたのではないかと思います。
本ILAS では、北海道での実習に先駆けて5 月に上賀茂試験地でもきのこ相調査を行っています。各地のフィールド研施設を活用させていただくことで、4 泊5 日の北海道実習だけでは体感できないような菌類の多様性に触れられたことが、本実習の目的の達成には不可欠でした。最後に、本実習のサポートをしてくださったTA、技術職員の皆様にお礼申し上げます。
年報21号 2023年度 主な取り組み