森林情報学分野 講師 坂野上 なお
ILASセミナー「木文化再生-森林から都市へ」は、本学地球環境学舎の小林広英教授および落合知帆准教授とともに共同で開講している。もともと、フィールド研教員であった地球環境学堂の柴田昌三名誉教授が立ち上げ時より参加していたものだが、柴田名誉教授の退職に伴い坂野上が加わることになった。
本セミナーにおける問題意識と目的は、「森林国でありながら国産木材の利活用は未だに高いとは言えない。一方、都市においても優れた木造文化を持ちながら、その継承が十分になされているとは言えない。」という状況下、「様々な事例を紹介しながら、森林や里山環境の在り方、日本の木材生産と森林の実態、地域に根ざした伝統木造建築(風土建築)の維持継承、都市木造建築の可能性、木造建築と災害などを概観し、日本の木文化再生について考える。」(「」内は2024年度シラバスより)。というものである。
本セミナーでは地球環境学舎教員はおもに座学を担当し、坂野上は2回の座学に加え上賀茂試験地における野外実習を1日行った。坂野上の担当する座学は、おもに森林の利用の歴史について、古代から現代までを概観し、人が森林と関わることで原生的な森林をどのように変えてきたのか、また戦後の人工林造成が拡大する過程で失われてきた「里山」について、その現代的な意義を考えさせる内容である。併せて、伝統的な木造建築の材料としてわが国の森林資源がどのように活用されてきたのかも解説した。
以上の座学ののち、2024年6月15日(土)に上賀茂試験地における野外実習を行った。試験地では、標本館の世界各国の木材標本やタケ標本から木質材料の多様さを、試験地に植栽された木々からは、森林から都市へと供給される木質材料の育つ環境を学んだ。試験地の展望地からは京都盆地を見渡すことができ、かつての里山=都市近郊林としての上賀茂の森の立地を体感できたかと思う。ちょうど同日に開催されていた里山おーぷんらぼ@上賀茂の参加者とも交流を行い、里山活動に携わる人々の問題意識や実践内容にも触れたうえで、里山エリアの見学も行った。
参加者7人全員が1回生で、総合人間学部2人、工学部3人、農学部(いずれも森林科学科)2人という構成だった。入学直後の初々しい学生達だったが、森林と建築、またその歴史に関わる学びを、本セミナーで得てくれたとすれば幸いである。
年報22号 2024年度 実習報告
