第4回由良川市民講座「森・里・海の対話-豊穣の海を育む森づくり-」

里海生態保全学分野 山下 洋


 平成24年7月8日(日)に第4回由良川市民講座を舞鶴市中総合会館コミュニティホールで開催した。フィールド科学教育研究センター舞鶴水産実験所と芦生研究林は、芦生研究林を源流とし丹後海に注ぐ由良川流域をフィールドとして、森里海の連環機構の解明と木文化の再生による新たな地域振興に関するプロジェクト研究を実施している。由良川市民講座は、北部京都において災害に強い地域作りを進めるために、モデルフォレスト事業を展開する京都府と共同で、毎年北部京都において開催する講演会である。平成20年まで開催した由良川フォーラムとあわせると、今年は第8回大会に位置づけることができる。
 今回のメインテーマは、「森・里・海の対話-豊穣の海を育む森づくり-」であった。気仙沼においてカキやホタテの養殖業を営み、東日本大震災でほとんど全ての養殖施設を失った畠山重篤氏(NPO 法人「森は海の恋人」理事長)をお招きして、「海と共に生きる」と題してご講演いただいた。震災における大変な経験とその後の養殖場の復興について紹介があり、それでも漁師として豊かな海と共に生きるという畠山氏の強い気持ちが聴衆にも鮮やかに伝わった。講演に続いて、松尾省二氏(京都府漁業士会)、山北絵美氏(林業女子会@京都)、上野正博氏(フィールド研舞鶴水産実験所)とともに、「森は海の恋人」を題材に、森林を整備することを通して豊かな海を作るための科学や、それを可能にする社会の仕組み、子供達に対する環境教育などについて、パネルディスカッションを行った。
 講演会場ロビーでは、由良川や里山・里海をキーワードとして活動する12団体が、活動内容を紹介する資料及びポスター展示を行った。210名を超える参加者があり、アンケートに対する感想も、ほとんどが本講座の意義を高く評価し今後も継続を要望する内容であった。本市民講座は、将来に向けた長い視点で京都府農林水産部と共同で続けていく予定である。毎年助成を賜っている(公財)日本財団、御協力いただいたNPO 法人エコロジー・カフェと(公社)京都モデルフォレスト協会に感謝申しあげます。

ニュースレター28号 2012年10月 社会連携ノート