舞鶴水産実験所長/里海生態保全学分野教授 益田 玲爾
2022年8月8〜12日に森里海連環学実習Iを開催し、6人(本学5人、他大学1人)の学生が参加しました。この実習は由良川をフィールドとして、河川水中の生物観察や水質の分析を通じて、森から海までの流域を複合したひとつの生態系として捉える視点を育成することを目的としています。
1日目は芦生研究林内にて森林や大規模調査区の解説などを行った後、林内の河川で魚類や水生昆虫、プランクトンを採集するとともに、水質分析用の水試料を採取し、現場での水質観測を行いました。その後、研究林外へ移動し2地点で同様の調査を行い、生物相の変化などを観察しました。2日目は中流域から汽水域へ川を下る形で進み、4地点で初日と同様の採集や試料採取・観測調査を行いました。また、夜には各地点で採取した水試料の水質を分析しました。3日目は採集した水生昆虫と魚類の観察と同定を行い、採取地点ごとの種類と個体数を集計しました。4日目と5日目はオンラインで開催し、実習中に得られたデータおよび本実習の過去の年度のデータをもとに、河川の環境や生物相の時空間的な変化について、参加者各自がプレゼンテーションにまとめて、発表と議論を行いました。
森林や人々の生活域が河川の水質と生態系へどのような影響を与えるかを考え、森と海のつながりに考えをめぐらす機会になってくれたことと思います。
年報20号 2022年度 実習報告