里山里海つながるフェス@イオンモール京都桂川 (2023年開催報告)

森林育成学分野 特定研究員 田中 拓弥

 2023 年10 月29 日(日)、「里山里海つながるフェス@イオンモール京都桂川」を、公益財団法人イオン環境財団との共催で実施した。
 京都洛西地域を中心とする高校・大学、活動団体、企業、行政機関等が集まり、里山里海や森里海のつながりをテーマに発信したり、出展者・来場者の交流を通じて、多様な人とつながり、これからの活動のヒントを得ていただくことを目的とした。
 当日、午前の部には91 人(事前申込・当日申込の34 人と出展者・関係者の57 人)が参加した。会場には11 団体の出展ブースと5 つの体験コーナーを設置した。午後の部では、会場を一般に公開し、204 人が来場した。
 午前の部の冒頭で、フィールド研・徳地教授による趣旨説明の後、かせやまの森創造社(木津川市)の中村事務局長による基調講演を行った。続いて、出展した団体等の代表者から一言ずつ活動を紹介した。
 出展した11 団体は、工藝の森、吉田山の里山を再生する会、森川田んぼプロジェクト(大阪産業大学)、森里海と文化研究会(京都大学)、エルセラーン化粧品株式会社、京都薬用植物園(武田薬品工業株式会社)、きょうと生物多様性センター、京都府立海洋高等学校、洛再Links(京都府立洛西高等学校)、および、公益財団法人イオン環境財団・京大フィールド研であった。
 午後の部では、それぞれの展示ブースにおいては、出展者同士や出展者と来場者が交流した。また、松ぼっくりのクリスマスツリー、マイクロプラスティックを用いた万華鏡などの工作コーナー、顕微鏡で植物・昆虫を観察したり、樹木のかおりを楽しむ体験コーナーなど、里山・里海を身近に感じられるように工夫されたコーナーにおいて、ショッピングのついでに立ち寄ったお子様連れの来場者が過ごされた。さらに、舞鶴水産実験所で行われた柴漬け漁で用いられた柴の見本、芦生研究林の概要や課題について紹介するポスター、上賀茂試験地から持ち込まれた木切れを用いた工作コーナーなど、フィールド研の特徴を生かした展示・体験のブースを設け、それぞれ楽しまれている様子が見られた。
 参加者アンケート(67 人)からは多様な年齢層・職業の人が参加されていることがわかった。また、4分の1の人は、「たまたま面白そうだから、通りがかりに立ち寄った」と回答していた。多くの人が訪れるショッピングモールの催事場で発信することによって、里山・里海にあまり行くことがない人や森・海の活動に馴染みがない人に対して、関心を持っていただく機会を提供することができた。
 現場の感覚では、来場者への対応で忙しく、出展者同士の交流が少なかったのではないかと感じられたが、出展者向けアンケートからは交流が行われていた例もあったことがわかった。全体を振り返ると会場は盛況であり、発信・交流する目的をある程度果たすことができたと思われる。他方、ポスター掲示や入館手続き等の面で意思疎通の課題が見られた。次回同様の場をつくる際には、今回の試みを踏まえて、ブラッシュアップした機会にできればと考えている。

年報21号 2023年度 主な取り組み