ポケゼミ報告2013「日本海に遊ぶ」

里海生態保全学分野 助教 上野 正博

 今年の少人数セミナー「日本海に遊ぶ~日本海学入門」は定員一杯の12名が受講申込みをしたが、うち3名は事前授業にも参加せず9名での開講となった。日本海の形成から始めて、環境・漁業・日本人の暮らしとの関わりなど事前授業を京都で二コマ行い、2月27日から2泊3日の実習にそなえた。
 病欠などで6人が参加した実習は、27日11時に西舞鶴駅前で開始された。駅前にある魚屋で水産物調理実習用のいろんな魚を仕入れる。西舞鶴の名物魚屋であるこの店にはまいどお馴染みなので思い切り勉強して頂く。定価なんか糞喰らえの値引に実習生達はびっくり。
 午後は、各自が準備してきた日本海をテーマとする発表大会とした。一人30分の持ち時間でプレゼンと討論を夕方まで行った。気候やエチゼンクラゲから日本史、ジブリまで幅広いテーマでプレゼンがあったので学生と楽しむ。17時からは水産物調理実習である。今年はいい指導者がいなかったので、私の指導でカレイの五枚おろしに挑戦してもらう。普通の二枚おろしや三枚おろしに比べ、はるかに高度な技のように書いている料理の教科書が多いのだが、実はとても簡単.包丁さえ良く研いどけばこんなモンかってな感じで次々に捌く.もっとも面倒な裏身はそのままにして、煮付けや唐揚げに、ついでに翌日にそなえて干物づくりにも挑戦。後はおきまりの宴会となった。ほとんどの学生にとって初体験の味が多かったが、予想外のうまさに堪能したらしい。
 28日は実験所の緑洋丸に乗船し、沖合の海洋調査を体験する予定だったが、少し時化模様だったため湾内で最新の音響カメラを使った海底探査と桁網での生物採集を行う。最終日は宮津にある水族館「魚っ知館」でバックヤード見学会を行った。飼育の苦労話などを飼育員さんにうかがう。最後は恒例の天橋立見物。今年は山からの見物はせず、徒歩で橋立を歩き海岸地形のでき方やレンズ水と呼ばれる島嶼や砂州上にできる淡水地下水の解説などを講義して2泊3日のポケゼミは今年も無事終了した。