カテゴリー
教育活動

実習報告2013 「森里海連環学実習 II 」

森林情報学分野 教授 吉岡 崇仁

 平成25年度の森里海連環学実習IIは、京都大学フィールド科学教育研究センターの北海道研究林標茶区と北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの厚岸臨海実験所を拠点として、8月30日から9月5日の日程で実施した。

【実習日程】
 2013年8月30日 実習生集合、ガイダンス、安全教育、講義、樹木識別実習
 2013年8月31日 天然林毎木調査、土壌調査、講義
 2013年9月 1日 パイロットフォレスト視察、牧草地土壌調査、水源域調査、
          講義、水質分析実習
 2013年9月 2日 別寒辺牛川の水生生物・水質調査、講義
 2013年9月 3日 厚岸湾および厚岸湖の水質・底質・水生生物調査、グループ発表準備
 2013年9月 4日 グループ発表(愛冠自然史博物館)、レポート作成
 2013年9月 5日 レポートとアンケートの作成・提出、解散

【実習生とスタッフ】
 受講した実習生は、京都大学から5名、北海道大学から8名、男子学生10名、女子学生3名の計13名であった。急遽キャンセルもあり受講生が少なかったため、3〜4名で「森」「川」「里」「海」の4つの班を構成した。教員及びTAは、京都大学からそれぞれ4名と2名、北海道大学から4名と3名である。京都大学フィールド科学教育研究センターの技術職員6名、北海道大学北方生物圏フィールド科学センターの技術職員2名の協力を仰いだ。

【野外実習の内容】
 標茶研究林での毎木調査では、昨年と同様に、2林班の天然生林の尾根と谷部にそれぞれ2つずつのプロット(20×10m)を設置し、各班が1プロットを担当して、胸高直径5cm以上のすべての木の胸高直径と種類を記録した(写真1)。また、プロット周辺において土壌断面を作成し、森林における土壌の形成過程、火山灰の堆積に関する実習を行った。尾根の1プロットでは、オオバボダイジュなど他のプロットには出現しない樹種が見られたほか、谷部は、湿地環境のため、ヤチダモなど水を好む樹種が多いといった違いがあり、環境と樹木多様性の関係を実習することができた。一方、土壌調査では、谷部では20cmも掘ると地下水が湧きだし、土壌断面の観察は困難であったが、嫌気的条件下での鉄の挙動について実体験することができた。また、研究林で実施している人工林での間伐施業や獣害防除の視察、国の事業として取り組まれてきたパイロットフォレストを視察し、林業についても学ぶことができた。
 水質調査では、別寒辺牛川流域及び研究林周辺で採取した河川試料について、デジタル・パックテスト・マルチと携帯型イオンクロマトグラフィーを併用して分析の原理と実際の試料測定を実習し、森林、牧草地といった流域環境と水質の関係について考察した。
 水生生物実習は、標茶研究林内の水源域と別寒辺牛川−厚岸湖・厚岸湾流域で実施した(写真2)。実習直前の降雨のため河川水量が多かったためか、大型の魚はほとんど採取できなかった。厚岸臨海実験所において、採取した水生生物の同定と消化管内容物の調査を行い、森林内と牧草地内を流れる川の調査地点間での水生生物の種多様性や食物連鎖の比較を行った。厚岸湖では、アマモ場の動物相を採取して、食物連鎖に関する解析を行った。また、厚岸湾では、多項目水質計による物理化学観測のほか、湾口に位置する大黒島周辺では、泳いでいるアザラシを観察した。

【発表会】
 「森」「川」「里」「海」の各班それぞれに異なる場の視点から各自が実習で得たデータを解析し、森里海の連環について考察しグループ発表を行った。今年は、愛冠(アイカップ)自然史博物館の会場で発表会を行った。連日夜遅くまでかけてデータ解析を行った結果を、各班独自の観点から森・川・里・海の連環を説明していた。