センター長挨拶

京都大学フィールド科学教育研究センター長 山下 洋

yamashita2017

 京都大学フィールド科学教育研究センター(略称「フィールド研」)は2003年に発足致しました。京都大学の全国10ヶ所にある9フィールド施設を運営し、学内外の皆様にフィールドにおける教育と研究の場を提供しています。9施設は森の施設、里の施設、海の施設から構成されており、フィールド研の教育研究の柱として森から海までの生態系や社会のつながりを研究する「森里海連環学」の創生を進めています。教育においては、森里海それぞれの分野における専門教育とそれらのつながりを学ぶ森里海連環学を中心として、学部教育への貢献とともに全学共通教育や少人数教育(ILASセミナー)へも多数の科目を提供しています。また、舞鶴水産実験所、瀬戸臨海実験所及び森林3施設(芦生研究林・北海道研究林・上賀茂試験地)は、それぞれ文部科学省教育関係共同利用拠点に認定されており、本学における教育研究はもちろんのこと、他大学による実習利用、全国の大学生・大学院生に向けた公開実習や研究利用のために、施設のさらなる充実とフィールドの整備に努めたいと思います。公益財団法人 日本財団との共同事業として、農学研究科、人間・環境学研究科、地球環境学堂・学舎とともに、2012年度に京都大学学際融合教育研究センターに森里海連環学教育ユニットを設置致しました。本教育ユニットは、2013年度から2017年度までの予定で全学の大学院生を対象とした「森里海連環学教育プログラム」を開設し、すでに多くの修了生を送り出しています。この教育プログラムでは、90名を超える受講生が海外で1ヶ月以上のインターンシップを経験するなど、国際的なフィールド教育の展開と人材育成にも大いに貢献しています。
 森里海連環学は、分野横断的に森から海までの複雑な自然・社会システムを理解しようとする、スケールの大きな研究領域です。一方、フィールド研は学部生・大学院生の教育とともに広大なフィールドと施設を管理する責務もあります。フィールド研発足以来、森里海の連環に関する研究が地道に継続され、得られた成果の積み重ねにより基礎的な知見の整備も進みつつありますが、その速度はけして速いとは言えません。この数年は、教育ユニットの設置と並行していくつかの大型研究が始まり、フィールド研に所属する若手の研究者が増加しています。森里海連環学のさらなる発展のためには若い力が不可欠であり、活性の高い教育研究を推進できる環境作りのために、大いに努力してまいりたいと考えています。
 フィールド研の施設は、山口県から北海道まで京都から離れた遠隔地にも設置されており、それぞれの地域における社会貢献が求められています。各施設は高等学校の実習や講義、市民公開講座や施設公開などを通して活発に地域連携を進めており、それぞれのフィールドの強みを活かし、地域にしっかりと根を張った教育研究施設をめざしています。今後、施設を運営し教育・研究・社会連携を進めるための財政基盤はさらに厳しくなることが予想されます。これまでにましての皆様のご指導とご支援を賜りたく、よろしくお願い申し上げます。

(センター長就任の挨拶 2017年4月)