第8回森里海シンポジウムを開催

森林育成学分野 德地 直子

 2023年3月19日に地球環境学堂および野生動物研究センターと共催で、第8回森里海シンポジウム「みんなで創る里山・里海の未来」を開催しました。京都大学北部総合教育研究棟益川ホールとオンラインのハイブリッドで実施し、計155人が参加しました。
 本シンポジウムは、2022年度からはじまった公益財団法人イオン環境財団の支援による、失われつつある里山・里海をどう考えるか、これからの里山・里海はどこを目指すのかをみんなで考える「新しい里山・里海 共創プロジェクト」の一環で実施されたものです。
 午前はプレ企画として、連携する全国の高校10校から、里山・里海をテーマに、田んぼや河川の生きもの調査やニホンウナギの保全、ヒシの繁茂と湖の水質との関係性といった日頃の研究成果に関する発表がありました。ポスターの前で高校生たちが熱心に解説している様子が見られ、対面開催ならではの盛り上がりを感じました。朝倉 彰センター長が各発表の講評を行い、優秀な高校を表彰しました。

 午後のシンポジウムでは、「みんなで創ろう!わたしたちの里山里海」をテーマに、湯本貴和 名誉教授が基調講演を行いました。「真」の生物多様性問題や、生態系サービスと里山・里海に関する解説があり、参加者の注目を集めました。続いてフィールド研の3施設(上賀茂試験地、舞鶴水産実験所、瀬戸臨海実験所)から、若手教員が最新の研究トピックスを紹介しました。それぞれの講演についてグラフィックレコーディングを実施し、講演の内容をイラストで共有しました。
 最後の質疑応答では、高校生や一般の参加者から、「ウイルスが生態系、生物多様性に及ぼす影響」や「里山・里海の概念は海外で共有されているか?」といった質問があり、それぞれパネリストから回答がありました。また、「「真」の生物多様性を守るために高校生ができることは?」という質問に対しては、まずは知ることから始めてほしいと湯本名誉教授が回答しました。
 今回4年ぶりにポスターセッションとシンポジウムを対面で開催することができました。実施したアンケートの結果からも、本シンポジウムが好評であったことが伺えましたので、引き続き、森里海の連環を考慮した「新しい里山・里海 共創プロジェクト」や「高大連携」にかかる事業を推進していきたいと思います。

(開催案内) 森里海シンポジウム「みんなで創る里山・里海の未来」(第8回)
(報告書) 第8回森里海シンポジウム報告書

ニュースレター60号 2023年6月