基礎海洋生物学分野 中野 智之 准教授
2023年6月に基礎海洋生物学分野の准教授に着任しました。2011年4月に同分野の助教として着任しましたので、瀬戸臨海実験所のある白浜での生活は12年目となりました。その間に在籍していた教員も入れ替わり、私が瀬戸臨海実験所に最も長くいる教員となりました。
これまでは主に貝類を研究の対象とし、系統分類と生物地理の研究を行ってきました。白浜に来てからは、分子系統学以外にも様々な研究を展開する事となりました。一つは瀬戸臨海実験所が管理する畠島での海岸生物群集一世紀間調査です。1969年に開始されたこのモニタリング調査ですが、この重要な調査の主担当を2013年に引き継ぎました。今年はちょうど調査の年でしたが、これまでの調査参加者に声をかけ、学内外から多くの参加者が駆けつけてくれました。このようなモニタリング調査はすぐに成果に結びつくものではないため敬遠されがちですが、環境変化による生物への影響はゆっくりと起こるため、長期のモニタリング調査が必要です。この継続調査への努力が評価され、2023年度にわかやま環境賞を受賞しました。これまで調査に関わって来られた方々皆様の受賞です。
また白浜水族館を利用した研究も展開しています。環境DNAのプライマー開発においては、何の種が入っているか明らかである海水を使用しないとプライマーのテストが成立しません。そこで水族館の各水槽から飼育水を採水し、中に入っていた種を当てることができるかどうかテストを繰り返しています。
今後も従来の研究手法を踏襲しつつ、最新の技術を用いた研究も展開していきたいと思っています。
ニュースレター61号 2023年10月