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イベント お知らせ

(終了しました/Completed.)公開講演会「芦生の森の昆虫たち 今昔物語」

 令和6(2024)年8月24日13時から公開講演会「芦生の森の昆虫たち 今昔物語」を歴彩館にて開催致します。

◆ 開催趣旨:芦生の森は「植物ヲ學ブモノハ一度ハ京大ノ芦生演習林ヲ見ルベシ」と称されるほど豊かな植物相が残る貴重な森です。植物は多くの昆虫と密接・多様な関係をもっており、芦生の森は昆虫相の面でも多様性が高く、希少種も多く生息しています。

 本講演会では、まず、芦生の森で長年、昆虫相を含め生物相の研究をされてこられた渡辺弘之京都大学名誉教授にご講演いただきます。次に、共生・寄生関係など生物間の関係を多方面から研究され、シカによる食害が深刻化するなかで芦生の昆虫相の変化をいち早く捉えてこられた加藤真京都大学名誉教授にご講演いただきます。最後に、現在のシカの食害に直面する芦生の森で、植生保護柵の内外で昆虫相を研究している若手研究者の和泉翔太さんに研究を紹介いただきます。

 昆虫相と研究者相の両面の今昔をご紹介します。「奥山で起きている環境変化を学びたい」「生物多様性保全を考えたい」という方におすすめの講演会です。会場には昆虫標本や研究を分かりやすく説明したパネルの展示もあります。ご家族そろってのご参加をお待ちしています。

◆ 主催:京都府(自然環境保全課・京都府立植物園)
    芦生生物相保全プロジェクト (http://www.forestbiology.kais.kyoto-u.ac.jp/abc/)
    京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林
◆ 後援:きょうと生物多様性センター運営協議会、一般財団法人 タキイ財団

◆ 会場:京都府立京都学・歴彩館 大ホール
    https://rekisaikan.jp/

◆ 日時:令和6年8月24日(土)13:00-16:00
◆ 参加費:無料
◆ 定員:400名(本フォームによる申込先着順です.)

 本講演会につきましては、事前参加申し込み制とさせて頂いております。参加を希望される方は、以下のフォームに情報をご入力・送信して頂きますようお願いします。お連れ様がおられる場合も、
1名ずつフォームにご入力ください。
https://forms.gle/979YnRRhscZCVBLNA

※申し込みフォームをご送信頂いたあと、ご登録のメールアドレスへ確認用の自動応答メールが届きます。もしフォーム送信後、30分が経過してもメールが届かない場合は、迷惑メールフォルダにメールが振り分けられている可能性がありますのでご確認ください。


◆ 講演情報
司会:阪口翔太(京都大学人間環境学研究科助教)
13:00 開会   阪口翔太(京都大学人間環境学研究科助教)
13:05 挨拶 戸部博(京都府立植物園園長)
13:15 生物多様性からみた芦生の昆虫相   渡辺弘之(京都大学名誉教授)
14:05 休憩
14:20 シカの過採食による昆虫相への影響  加藤真(京都大学名誉教授)
15:10 シカの食害からの植生回復は、チョウ・トンボの多様性を高めるか?  和泉翔太(龍谷大学修士課程2年)
15:40 芦生研究林でのシカによる生物多様性劣化と保全・研究   石原正恵(京都大学芦生研究林林長)
15:50 全体質疑応答
15:55 閉会挨拶  後藤幸宏(京都府自然環境保全課課長)
16:00 終了

◆ 申し込み期限:8月22日 17時00分

◆ 問い合わせ先:京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林(TEL: 0771-77-0321)

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イベント

斧蛇館のリニューアルオープン記念式典の開催

 2024年6月25日に芦生研究林資料館「斧蛇館」のリニューアルオープン記念式典が開催されました。フィールド研の関係教職員、関連団体、地域の方など55名と芦生研究林スタッフ12名の、計67名の方がお集まりくださり、式典と、続いて展示物の解説・見学会が行われました。

 式典では、舘野隆之輔フィールド研センター長の挨拶に続き、京都府自然環境保全化の後藤幸宏課長、一般社団法人芦生もりびと協会の鹿取悦子代表理事、南他八ヶ字財産区管理会の今井崇委員長よりご祝辞を賜りました。また、KDDI株式会社より祝電を頂きました。その後、展示設計や展示物、造作の作成を行っていただいたTAO舎の大滝あやさん、画家の平田有加さん、富士フイルムビジネスイノベーション株式会社の吉田謙一さん、sola woodworksの鈴木直彦さんから、リニューアルや展示物についての想いや実際に作業を行なって苦労した点などをお話しいただきました。皆様のお話から、芦生研究林が大学の教育研究施設というだけではなく、多様な人が集い、新しい価値を生み出す場としての挑戦を期待されていることを改めて感じました。

 見学会では、資料館に移動し、展示物を前にしながら、画家の平田さんによる絵巻の解説や、フィールド研の教員による展示パネル等の解説が行われました。参加者からは、「展示物に込められた想いや制作の裏話を聞くことで、展示物やそのメッセージに対する見方が変わった」などの意見をいただきました。また、参加者の皆さんが展示物を前にして、過去の、現在の、そしてこれからの芦生についてお話をしている様子が、とても印象的でした。

 リニューアルをきっかけとして、現在の芦生の森を見るだけでは気付きにくい、自然の仕組みや森と人の関わりを想像してもらえたら、そして芦生研究林が多様な人が集い・学ぶ場となってくれたら嬉しいです。

 最後になりましたが、芦生研究林基金にご寄付頂いた皆様、リニューアルに関わっていただきました皆様に厚く御礼申し上げます。

斧蛇館は平日の9時から16時に開館しており、開館中はどなたでも自由にご覧いただけます。(休館日は、土日祝日、年末年始、京都大学の一斉休業日です。)

***斧蛇館について***

 斧蛇館は、学生や研究者、さらに一般の皆様に、大学の活動や芦生の森を知っていただくため、1992年に資料館として開館しました。2020年、芦生研究林基金へのご寄付によりリニューアルを行うことが決まりました。リニューアルにおいては、森に入るだけでは得られない自然の仕組みや人との関わりを紐解く場を目指して、大学関係者や研究者だけではなく地元の方やツアーガイドをはじめ、芦生研究林に関わる様々な方にご意見を頂くことで共創を試みました。約4年間の構想・企画・製作を経て、2024年6月にリニューアルオープンしました。展示は、芦生研究林で行われてきている様々な研究成果や取り組み、芦生研究林の歴史を紹介するパネルや、芦生の生き物の剥製や関連書籍を展示したジオラマやコレクションラックを作りました。さらに入り口には、シカ食害が目立たなかった植生が豊かであった芦生の姿を幅約9メートルという大スケールで描いた四季絵巻(平田有加さん作)のレプリカを展示しました。自然科学、歴史、芸術など多様な視点の融合によって、理性と感性の両面から楽しみ、学べる資料館を目指しました。

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お知らせ

(解除しました/lifted)一般入林禁止のお知らせ/Prohibition of entering the forest

2024年8月6日に入林制限を解除しました。
The restriction on entry into the forest was lifted on August 6, 2024.

ツキノワグマの生息範囲ですので、引き続きクマ鈴の携行や単独行動を避けて入林をお願いいたします。早朝及び夕方の入林はお控えください。Since the area is inhabited by black bears, we ask that you continue to carry bear bells and avoid entering the forest alone. Please do not enter the forest early in the morning or in the evening.

また灰野方面(軌道)においては、橋等の踏み板の劣化による踏み抜きの可能性がありますのでご通行の際はご注意ください。

6月23日から連日、芦生研究林事務所付近や構内にて、ツキノワグマが頻繁に目撃されています。

6月23日の昼間に由良川橋(トロッコ軌道の橋)周辺にて、親子のツキノワグマが目撃されました。
芦生研究林の構内においても、6月24日19:30頃、6月25日10:30頃にコグマが目撃されております。

夜間に限らず、昼間にも構内で目撃されており、親子であることから、従来以上に危険性が高い状況です。

上記の理由から、状況が改善されるまでブナノキ峠方面、トロッコ軌道方面への一般入林を禁止します。
皆様の命に関わることですので、ご理解とご協力をお願いいたします。

※7月14日(日)の日中に、研究林事務所付近で再度親熊の目撃がありました。現在も入林禁止措置を継続しています(7月16日追記)。

Since June 23, Asian black bears have been frequently seen near the Ashiu Research Forest Office and on the premises every day.

A mother and child black bear were seen around the Yuragawa bridge (bridge of the trolley track) during the daytime on June 23.
Child bears were also spotted on the Ashiu Research Forest premises at around 7:30 p.m. on June 24 and 10:30 a.m. on June 25.

Not only at night, but also during the daytime, they have been sighted on the premises, and since they are a parent and cub, the situation is more dangerous than before.

For the above reasons, we prohibit public access to the Bunanoki Pass and the trolley tracks until the situation improves.
We ask for your understanding and cooperation for your safety.

During the day on Sunday, July 14, a parent bear was seen again near the Ashiu Forest Research Station office. The prohibition of entry to the forest is still in effect (added July 16).

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学生実習

京都府立林業大学校「森林科学Ⅰ」実習報告

 6月10日に京都府立林業大学校の実習が行われ、12名の学生が参加しました。「森林科学Ⅰ」という科目の一環で行われた実習です。京都府立林業大学校は、2012年に設立された西日本初の林業大学校です。詳細につきましては京都府HPよりご確認下さい。

 当日は杉尾峠から長治谷までの上谷エリアを歩きつつ技術職員の宮城(京林大卒業生)が解説を行い、その後 大カツラの見学を行いました。

 事前に石原林長が京林大で気候と植物の分布・遷移・森林生態系と生物多様性等について講義を行っており、座学での学びを実際に山に入り観察することで、より学習を深化させる狙いがあります。

 杉尾峠までの道中では暖温帯から冷温帯への植生の変化や林道の整備等についての解説を行いました。

 上谷エリアでは芦生の山を特徴づけるアシウスギ・ブナ・トチノキの解説、獣害による被害状況の解説、人と森の関りなど幅広い解説を行いました。解説に対してメモを取る学生もおり、非常に熱心な様子が伝わってきました。
 大カツラでは今まで目にしたことのないような巨木を前に歓声が上がりました。約100年前に撮られた写真とほぼ同じ姿で、現在の場所に立ち続けているその様子に感動していた学生もいました。

 下山後には特別に資料館の見学も行いました。オープン前のため一部資料の解説がない状態でしたが、学生さんは全ての展示物に興味をもって見学されていました。

 実習全体を通して、林道の整備や重機操縦、特用林産物についてなど、技術職員ならではの解説もあり、よかったとご意見いただきました。

 京林大の実習では人工林の見学が非常に多く、芦生の山のような原生的な森に入ることは少ないです。芦生の原生的な自然やそこでの保全・教育・研究活動を学んでいただき、卒業後には生態系の在り方などについても考えられる、広い視野を持った森林・林業技術者になって活躍されることを期待します。

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学生実習

東邦大学「野外生態学実習」実習報告

 2024年5月27-31日 東邦大学の学生実習「野外生態学実習Ⅱ」が行われ、20名の学生が参加しました。
 
 29日には上谷で植生や生物相を見学しました。参加した学生は普段見ることができない冷温帯林の構成樹種であるミズナラやブナの解説を興味深く聞いていました。また、上谷の支流で水生生物の観察を行いました。
全員で一生懸命に石の下を探し、サンショウウオの幼生や水生昆虫を見つけました。
 
 他の日程は森林軌道で爬虫類、両生類の観察を行いました。学生達は興味のある植物や動物を見つけると写真を撮影し、同定していました。

 芦生研究林での経験や生物観察から、大学に帰った後も学びを深めてもらえたらと思います。

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イベント お知らせ

(終了しました)第4回 美山×研究つながる集会開催のお知らせ

開催終了しました。たくさんのご参加ありがとうございました。

第4回 美山×研究つながる集会
「地域を元気にするタネをみつける〜人口減少社会における担い手不足と向き合う〜」を2024年3月3日(日)に京都丹波高原国定公園ビジターセンターにて開催します。詳細は以下の通りです。またチラシはページ下部にてダウンロードできます。

日時:2024年3月3日(日)13:00〜16:00
場所:京都丹波高原国定公園ビジターセンター
形式:ハイブリット(会場+オンライン)
主催:「森里連環学に基づく豊かな森と里の再生」研究会、京都丹波高原国定公園ビジターセンター運営協議会
協力:京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林

目的:定住者支援・観光にもとづく地域振興などを先進的にすすめてきた美山町。しかし、コロナ禍を経て、過疎・高齢化が引き続き進行し、農業・教育・福祉・社会サービスなどの多方面で変化が生じ、担い手不足が深刻化しています。
 美山×研究つながる集会は、研究者と美山町の関係者、美山町関係者同士、そして研究者同士が交流し、そこから地域の課題を解決する協働の取組が発展することを趣旨として、2020年から開催してきました。
 第4回目は、人口減少・担い手不足に直面するコミュニティでは何が起こり、それをどのように捉えたらいいのか、をテーマとして設定し、課題共有、課題解決にむけた取組の紹介、協働促進を目的とします。
 人口減少社会における地域振興コンサルティングを各地で手掛けてきた嶋田俊平さんから話題提供をいただきます。そして美山町内での取組を展開している団体に取組事例を介いただき、議論をします。




 人口減少・担い手不足に直面するコミュニティでは何がおこり、それをどのように捉えたらいいのか。
 人口減少をどこまで食い止められるのか?関係人口が増えれば課題は解決されるのか?不可避だとすれば、どのようなコミュニティを構築すべきなのか?成否を分けるポイントは何なのか?我々は何をどのように目指すべきなのか?こうした問いをみんなで考え、共有する時間を目指します。
 加えて、コロナ禍で疎遠になった研究者と地域のつながりの促進や、地域振興を目指す新たな取組の共有も目指します。


石原 正恵 芦生研究林 林長

参加対象者:美山町住民、美山町の団体にご所属の方、美山町で研究している(研究しようと考えている)研究者・学生

プログラム
司会:赤石大輔(大阪産業大学)
13:00-13:05   開会挨拶  
13:05-13:10   企画説明  石原(西岡)正恵(京都大学芦生研究林 林長)
13:10-14:10(60分)   「ふるさとの夢をかたちに〜地域に価値を生み出す持続可能な事業モデル」嶋田 俊平氏(株式会社 さとゆめ 代表取締役・オンライン講演)





 「すべての人がふるさとに誇りを持ち、ふるさとの力になれる社会」を目標に、地域の戦略策定や計画づくりだけにとどまらず、その先にあるマーケティング戦略や商品開発、販路開拓、そして施設運営、組織経営まで、一気通貫で支援する「伴走型コンサルティング」会社「さとゆめ」を創立。
 日本各地40か所以上の地域に関わる。著書に「700人の村がひとつのホテルに 「地方創生」ビジネス革命」(2022年)。

株式会社 さとゆめ 代表取締役 嶋田 俊平 氏

休憩
14:20-14:35(15分)  「美山町の振興会の取組紹介」下伊豆 仁史氏(美山町地域振興連絡協議会会長)
14:35-14:50(15分)  「知井振興会の課題」河野 賢司氏(知井振興会事務局長)
14:50-15:10(20分)  「美山まちづくり委員会の取組」大野 光博氏(美山まちづくり委員会委員長)
15:10-15:50   意見交換
15:50 閉会挨拶 徳地直子(京都大学フィールド科学教育研究センター・教授) 

申し込み方法
1)会場参加:事前申し込み不要
2)オンライン参加:申込フォーム(Googleform)から申し込んでください。

申し込みフォームはこちら→https://forms.gle/y92PUFFHmx4tLC1s9 2月29日締切

2024年3月1日にご登録いただいたメールアドレス宛にZoomのURL・参加方法等をご連絡いたします

過去に行った美山×研究つながる集会については以下をご覧ください。
第1回:2020年2月21、22日 「どうしたらいい?地域と研究者のしあわせな出会い」
第2回:2021年2月21日 「つながることから始める・始まる!」(オンライン開催)
第3回:2023年2月28日 「大学と地域をつなぐッ!」(ハイブリット開催)

なお、2022年は新型コロナウイルス感染拡大予防のため開催を中止しました。

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お知らせ

「大学の森」が見た森と里の再生学-京都芦生・美山での挑戦

 2024年1月22日に、『「大学の森」が見た森と里の再生学-京都芦生・美山での挑戦』が京都大学学術出版会から出版されました。



『「大学の森」が見た森と里の再生学-京都芦生・美山での挑戦』
石原 正恵・赤石 大輔・徳地 直子 編

A5並製・420頁
ISBN: 9784814005048
発行年月: 2024/01
本体: 3,600円(+税)

【内容】
祖先が私たちにつないでくれた、この豊かな森と里。
これらを私たちのあとに生まれてくるすべての人につないでいきたい。(本書より)

 シカの食害・地球温暖化により変わる森、過疎・高齢化に直面する里。日本各地が直面するこれらの課題は互いにつながっている。だから、学問の垣根を越えて、研究者と社会の垣根を越えて、一緒に考え行動しよう。こうした視点に基づき、100年続く大学の森である芦生研究林と地元美山町を舞台に、理系から文系までの研究者が、地域住民・行政・企業などと、森と里の共再生を目指し本気の超学際研究に取り組んだ。

 本書では、研究成果の紹介だけでなく、「言うは易く行うは難し」の超学際研究の始まりから展開の裏側を描く。多様な価値観と立場が交錯する中での協働のコツや苦労、研究者の変化、継続のヒントまで。

 「本書を読んだ方が,「こいつら,あほやなぁ.自分たちにもこれくらいできるわ」と思ってくださり,豊かな森と里の再生にむけて,楽しくみんなで学び合いながら手を取り合っていけたら,編者らとしては本望である.」(本書より)

【目次】
はじめに [徳地直子]
序 章 芦生の森から生まれるつながり [徳地直子]
第1章 大学・市民・植物園の連携で希少植物を守る [阪口翔太]
 コラム 芦生研究林におけるナラ枯れ [山崎理正]
第2章 回復力を失った森林生態系の再生にむけて[石原正恵]
第3章 トチノキの利用と保全の両立を目指して [坂野上なお・石原正恵]
第4章 ツアーガイドと行う地域の生物多様性調査 [赤石大輔]
 コラム ガイドのニーズと研究者のニーズ [赤石大輔]
 コラム 美山町のエコツーリズム [赤石大輔]
第5章 地域資源ブランドによる農産加工品の高付加価値化 [内田恭彦]
 コラム 芦生地域の産業の変化 [内田恭彦]
 コラム 中山間農業地域の現状 [内田恭彦]
第6章 地域が目指すツーリズムの姿を探る [清水夏樹]
第7章 地域との協働を育むプラットフォームづくり [福島誠子・赤石大輔]
 コラム 山の健康診断 [赤石大輔]
 コラム 屋久島学ソサエティ  [福島誠子・赤石大輔]
 コラム 協働のプラットフォームづくりの背景 [福島誠子・赤石大輔]
終 章 豊かな森と里の再生に向けて [徳地直子・赤石大輔・石原正恵]
 コラム 地域ステークホルダーとの対話の技法 [石原正恵]
あとがき [石原正恵・赤石大輔・徳地直子]

*本書は、公益財団法人日本生命財団の協力により刊行されました。
 著者リスト他、書籍の詳細は、京都大学学術出版会ウェブページはこちらをご覧ください。

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フィールド

「菌類ワークショップ2023」開催報告

 菌類多様性研究の促進と若手研究者の育成を目的として、フィールド調査とディスカッションを行うワークショップを10月27-29日に開催しました。ワークショップは、教育関係共同利用拠点「人と自然のつながりを学ぶ森林フィールド」の事業の一環として行いました。

 講師として、橋本陽 (理研BRC)、山本航平 (栃木県立博物館)、升本宙 (信州大学)の3名を迎えました。参加者は、全国の大学・大学院から10名が集まりました。

 フィールドワークでは、講師が研究対象とする菌類を調査・採集する様子を参加者が間近で見学することで、野外での探索や観察のポイントを直接教わりました。その後、屋内に移動し、採集した標本の顕微鏡観察や講師の講義、参加者の研究紹介を行いました。菌類の観察方法や菌類研究の最新トピックの共有に加え、参加者の研究や菌類研究の今後についての熱い議論が展開されました。

 参加者からは、「講師と菌類目線で林内の散策が出来て新たな発見があった」、「菌類を研究する同世代の学生間でたくさんの議論を交わすことができて良かった」という感想をもらいました。

 今回採取された標本の中には、未記載種や日本新産種と考えられるものも含まれます。調査や今後の解析によって、芦生研究林の菌類多様性の解明が進むことが期待されます。今回のワークショップを通じて、参加者自身の研究の発展や、将来の共同研究や新たな研究の方向性などを考えるきっかけになったのではないでしょうか。菌類研究の奥深さや面白さに参加者が触れるきっかけになれば嬉しく思います。

 こうしたフィールド研の研究林・試験地を利用したワークショップは、対象生物やテーマを検討しながら今後も継続的に開催する予定です。今後の開催に関しては、フィールド研や芦生研究林のホームページやSNSで情報発信します。

 
 たくさんのきのこがありましたが、今回の参加者の興味は下の写真のように、きのこらしくない見た目のきのこや地衣類(と地衣類につく菌類)、病原菌などにあったようです。

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イベント お知らせ

(終了しました)「どうする?私たちと森とのつながり!」京都丹波高原国定公園ゼミ第四講 開催のお知らせ

 

沢山の方にご参加いただきありがとうございました。(2023/12/18 追記)

12月17日に京都丹波高原国定公園ビジターセンターにて行われる講演会にて、石原林長が「森の恵みはどう変わってきたか:資源から心の豊かさへ」というテーマで講演を行います。芦生研究林を事例に木質資源利用から研究・観光・教育利用、さらに森林生態系サービスとその先の展開などを講演する予定です。
 ご興味のある方は、ぜひご参加いただければ幸いです。

 詳細及び申し込みにつきましては京都丹波高原国定公園ビジターセンターのHPからご確認ください。
 なお、芦生研究林では申し込みの受付をしておりません。申し込みは全て京都丹波高原国定公園ビジターセンターで行っていますので、ご注意いただきますようお願いいたします。

 以下からチラシ(pdf:1.1MB)をダウンロードできます。

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お知らせ

映画「唄う六人の女」の公開にむけて

石原正恵(芦生研究林林長)
2023.10.23



 2023年10月27日公開予定の映画「唄う六人の女」の森のシーンのいくつかは芦生研究林内で2022年に撮影されました。芦生研究林は大学の教育研究の場として京都大学が管理しています。

 この度映画撮影を許可したのは、映画のテーマが、芦生研究林、そしてその所属部局である京都大学フィールド科学教育研究センターのミッションである「森里海連環学」に通じるところがあったからです。

 「森里海連環学」の「里」というのは人間社会を指します。つまり、森・ 川・ 海と人間社会がつながっている、しかしそのつながりが失われ変化してしまった結果、生態系や人間社会に大きな問題がおこっている。それを様々な学問分野や社会の皆様と協働し、解決を目指していく、それが「森里海連環学」です。

 我々は毎日、この芦生研究林で教育研究活動と森の保全を行っています。ほぼ毎日森と向き合って仕事をしています。しかし、日本国民の大多数はこうした農山村から遠く離れた大都市に暮らし、森と日々の暮らしとのつながりを感じることもなく暮らしています。
 
 かつて、森は、炭・薪などのエネルギー、肉・魚・木の実・きのこなどの食料、木材など、我々の生活に不可欠な資源を供給し、信仰の対象でもあり、文化が形成される場でもありました。しかし、そのような暮らしを現在でも続けているのは農山村でも一部の人だけとなってしまいました。そして、森は、地球温暖化やシカの食害など、遠く離れてくらす人々も含めた人類による環境改変により、多くの問題に直面しています。我々を含め日本の森林研究者の共同研究(環境省モニタリングサイト1000)から、日本の森林において、今まで見られていた寒い気候を好む樹種が減り、より暖かい地方の樹種が増えていることがわかってきました。また日本各地で増えたシカが下草を食べ尽くし、様々な植物や昆虫などが姿を消していっています。皆さんの日々の生活と森はつながっているのですが、それに気づきにくいので、なおさら問題解決が難しいのです。

 こうしたことを伝えたくて、我々は日々活動していますが、接するのは学生さんなど森へ関心のある方がほとんどです。どうすれば、渋谷のスクランブル交差点や道頓堀におられる皆さんが森に思いを馳せて、少しでも森の価値や課題、自分自身とのつながりに気づいてくれるのでしょうか。

 「唄う六人の女」では、森や農山村に関心のなかった登場人物が、最終的にはそれらの価値に気づいていく映画とみることもできるのではないでしょうか。またエンターテーメントして本映画を見ていただけた皆さんが、森の素晴らしさやそこに棲む生き物たち、そして皆さんと森のつながりに気づいていただくという二重の気づきがあるのではと期待しています。さらに、本映画で描かれる開発は、かつて芦生の森において計画されたダム建設とも重なります。われわれ人類が森とどのような関係を結んでいくのかというテーマを提示してくれています。
 
 また本映画は我々にも気づきを与えてくれました。それは、本物のちからです。CG技術によって実物以上に美しく幻想的な自然が描かれている映画はたくさんあります。しかし、本映画に描かれる森は、日々我々が活動し、「美しい、幸せだなあ」と思っている本物の森がそのままに描かれています。改めて、フィールドの力に自信を持ち、またこの森を未来の世代に引き継いでいかなければならないと思いを強くしました。

 もう一点は、アカデミアと芸術・エンターテーメントという異なる分野の人の交流が可能ということです。撮影による環境負荷についてもご理解いただき、柔軟に撮影シーンや方法を検討いただきました。撮影方法や場所から、現場まで歩くルートに関してまで、撮影スタッフ、芦生研究林、ガイドさんの間で事前に度重なる打ち合わせを行い、調整や工夫をしてまいりました。ご理解・配慮いただきました石橋監督、撮影スタッフや俳優の皆様にお礼申し上げます。この経験は我々に全く異なる分野の皆様との理解・協力が可能であると改めて感じさせてくれました。

 では、そんな森を見たいという皆さまへ。芦生もりびと協会のガイドツアーをご利用いただくことで撮影現場の森をご自身で体験いただくことができます。遭難を防止し、貴重な自然を守り、そして農山村の持続的な観光産業を守るためにも、ガイドツアーをご利用頂きますようお願いいたします。また芦生の森を守り、森の秘密を解き明かす研究を進め、若い世代を育てるために、芦生研究林基金へのご寄付をぜひお願いいたします。

Suzuki SN, Ishihara MI and Hidaka A (2015) Regional-scale directional changes in abundance of tree species along a temperature gradient in Japan. Global Change Biology, 21: 3436–3444. DOI: 10.1111/gcb.12911.