海洋生物環境学分野 高木 淳一 特任助教
2024年4月1日に海洋生物環境学分野の特任助教に着任しました。大学院教育支援機構プラットフォーム学卓越大学院プログラムの特定助教でもあります。
私は生物の遠隔的観察手法のひとつであるバイオテレメトリーを駆使し、水圏生物の行動や生態について研究しています。対象は主に魚類ですが、エビやカニなどの甲殻類、潜水採餌するペンギンなど鳥類も含まれます。バイオテレメトリーは、対象生物に装着した発信機の信号を受信機で記録することにより、IDや滞在深度、経験水温などの情報を得る手法です。私はその中でも、高精度3次元測位の手法開発と適用に特に興味を持っています。手法開発においては、理論は容易な反面、現場環境における実装が困難であることもあれば、理論から既にややこしさを極めることもあります。手法を多くの研究者が正確かつ容易に理解した上で使用可能にすることは、この分野の裾野を広げるため、また新たな可能性を提示するために必要不可欠であると考えています。適用先としては、帰巣行動や、個体間相互作用の記述を基礎とした群れ行動や捕食者−被食者の関係などに着目して研究を展開していきたいと思っています。
また最近はカワウによる漁業被害にも興味があり、その行動を追跡するための記録計を装着すべくカワウの捕獲を試みています。今後、バイオテレメトリーの技術を用いてその被害を明らかにし、社会に直接貢献するような研究も進めていければと考えているところです。よろしくお願いいたします。
ニュースレター65号 2025年02月