新人紹介 八柳 哲

新人紹介  八柳 哲

里海生態保全学分野 八柳 哲 特任助教(特定研究員)

 2024年4月より舞鶴水産実験所に特任助教として着任しました。3月に学位を取得するまでの10年間を北海道で過ごしておりましたので、本州の生態系の新鮮さに目を奪われる毎日です。暖かくなるにつれ舞鶴水産実験所の周りで見られる魚たちの顔ぶれも変わってきており、これから多種多様な生き物に出会えることを楽しみにしています。
 私の専門は魚類の生態学です。魚たちが人間の目の届きにくい世界でどのように多様性を形成・維持しているかに興味があり、海や川を問わず様々なフィールドを対象としてきました。特に興味のある分野は群集生態学、回遊生態学、系統地理学であり、「環境DNA 技術」を基軸に研究を進めて参りました。どの種がどこにどれだけいるか、ということを調べる上で有効な手段として発展してきた環境DNA 技術は、今や種内の遺伝的多様性をも調べられるほどに解像度が高まっています。この技術を活かすことで、集団レベル・群集レベルでの多様性の成り立ちを理解していきたいと考えています。
 今後はこれまでの経験に加え、フィールド研の学生・先生方との関わりの中で生態学に関する新たなノウハウを身に着けながら研究を発展させていきます。またイオン環境財団との連携事業である「新しい里山・里海 共創プロジェクト」を通じて、自治体や市民との交流、成果共有にも力を入れて取り組み、身近な自然の面白さ・美しさを広く発信していければと思います。

ニュースレター63号 2024年 6月