月別アーカイブ: 2021年8月

作業道路面補修その1(木組みによる路肩補修)

今年の8月は前線の影響による雨が続き、和歌山研究林では総雨量1000mm近くに達しました。幸い、林道等の大きな被害は確認されなかったものの、10林班の既設作業道の一部に亀裂を確認し、路肩崩壊の恐れがあるため、木組み工法による路肩補修作業を行いました。
木組み工法は丸太を積み上げることにより路肩を安定させる方法であり、材料を現地調達でき、埋め戻す土砂も少量で済むことから環境負荷の少ない低コストの工法とされています。

作業はまず、亀裂箇所の路肩部分を重機で掘削し土砂を除去した後、丸太を設置する箇所を転圧し、平らにならします。

作業前(路面に亀裂と沈下がある)

亀裂箇所の掘削

 

 

 

 

 

次に材料である丸太の伐採行います。現場付近はスギ人工林内なので容易に調達できました。丸太は桁木(土台となる長い部分)と横木(桁木と垂直方向に一定間隔で設置する短い部分)を交互に組み上げていきます。今回の現場は小規模なので2段組みとしました。
桁木の長さを設置場所に調整(今回は7m程度)し、重機で吊って設置します。桁木が設置できたら、横木(今回は1.5m程度)を垂直方向に設置します。なるべく水平になるよう手作業で微調整します。設置できたら釘で固定します。

立木を伐採し丸太を作る

丸太を設置する

 

 

 

 

 

釘は一般的な釘(10寸釘等)では長さや強度が不足するので、異形鉄筋を切断して尖らせた自作の釘を使用します。ドリルで下穴を開けた後、ハンマーで鉄筋釘を打ち込み、桁木と横木を固定します。これで一段目の完了です。

釘を打つ場所にドリルで穴を開ける

釘を打ち込み丸太を固定する

 

 

 

 

 

一段目が設置できたら、いったん土砂を埋め戻します。重機により一段目の高さまで土砂を埋め戻し、しっかりと転圧します。同様に2段目も設置し、埋め戻しと転圧を行います。
その後は残った土砂を路面の高さまで埋め戻し、しっかりと転圧し、路肩整形を行い路面を平らにならし完成としました。木組み工法は丸太の耐久性が問題点ではありますが、数年は耐えられるのではないかと考えております。

組み立てたら土砂を埋戻し転圧する

路面を整形し完成

 

八幡小学校森林体験学習(2021年春)

令和3年6月30日に有田川町立八幡小学校5年生6年生を対象に森林体験学習を行いました。
この事業は例年、八幡小学校の5年生を対象に「総合的な学習の時間‐森のことを知ろう(環境)‐」の事業の一環で春と秋の年2回実施されています。
昨年度は新型コロナの影響で春の部は実施できなったので、今年度は5年生8人に加えて、昨年度来る予定だった6年生7名も参加してくれました。

当日は、ごまさんスカイタワーに集合し、周辺の森林を観察した後、研究林に移動し、2林班から3林班の境界部分の散策コースをゆっくり歩きながら樹木観察を行いました。
午後からは午前に歩いた散策コースで見つけた樹木の識別テストを行いました。10種類の樹木について、名前と特徴をそれぞれ回答してもらいました。
「これは葉っぱがぎざぎざのやつだ」、「特徴はわかってるけど名前が出てこない」など、悪戦苦闘しながらも生徒たちは楽しく学習していました。

この体験を通じて樹木を身近に感じたり、森林の大切さを理解して興味を持ってくれたらうれしく思います。

集合場所周辺の森林観察
テキストによる樹木識別方法の解説
樹木観察の様子1
樹木観察の様子2
樹木識別テストの様子
終わりの挨拶

総合的な学習の時間「SIMIZUタイム」(森林ウォーク2021・春)

令和3年6月2日に県立有田中央高等学校清水分校との共催で総合的な学習の時間「SIMIZUタイム」(森林ウォーク2021・春)を行いました。今年度からは新たに結ばれた協定「和歌山県有田川町・フィールド研・ 有田中央高等学校・有田川林業活性化協議会の四者間で林業振興及び人材育成に向けた包括連携協定」の取り組みの一環として行われました。

午前9時過ぎにごまさんスカイタワー駐車場に集合し、長谷川准教授による開催の挨拶と参加者の自己紹介やスカイタワー周辺の森林観察を行いました。
その後、研究林に移動し5林班と6林班の林班界のハコヤ尾を歩きながら、樹木を中心とした自然観察を行いました。
スタート地点の標高の高いブナやヒメシャラの混じる天然林、中腹のモミ・ツガ林、下部のカシ類など照葉樹を含む天然林など森林の垂直分布の移り変わりや、天然林とスギ・ヒノキ人工林との違いも実感することができ、他にも動物(熊等)の痕跡を発見するなど研究林内の多様な自然を観察してもらいました。

午後からは研究林事務所周辺で自然観察や長谷川准教授による野外講義を行いました。「今日の体験を通して地元の自然の仕組みや豊かさを理解し、それらを活かして地域を元気にしてもらいたい。」というお話がありました。

集合場所周辺の森林観察

ブナ林の観察

ヒメシャラ樹皮の手触りを確認

ブナ実生の観察

人工林内での解説

モミとツガの違いを解説

新設作業道作設

和歌山研究林4林班に作業道を新設しています。測量から設計、伐採とすべて直営作業で行います。台風等の影響も有り作設が遅れておりましたが
いよいよ本格的に作業が始まっています。

今年度予定分までの作業は完了しました。来年度以降も職員が協力してしっかりした作業道を作設できるようがんばります。

作業前

土砂の切りとり

土砂の積み込み

掘削中

途中経過

予定箇所まで終了

和歌山研究林ミニ公開講座2021

和歌山研究林は和歌山県で最も標高の高い地域に位置する研究林です。このミニ公開講座では、モミやツガ、ブナの大径木が見られる天然林やスギを主体とする人工林をスタッフの解説により少人数で散策しながら、植物や森林の特徴について学びます。

minikouza20

日  程:
2021年10月9日(土) 9時30分~16時00分
台風等により中止した場合、10月23日(土)の9時30分~16時00分に順延する予定です。
10月23日が中止となった場合、順延はありません。
当日スケジュール(小雨決行):
9:00 受付開始 検温
9:30 開講式
9:40 ごまさんスカイタワーへ移動(バス)
11:15 ごまさんスカイタワー着(トイレ休憩)
12:00 散策開始 途中昼食
13:00 散策再開
14:30 散策終了 トイレ休憩後行政局駐車場へ移動(バス)
16:00 行政局駐車場着 閉校式 解散
(雨天の場合)
9:00 受付開始 検温
9:30 開講式
9:40 講義
12:00 閉校式 解散
会  場:
和歌山研究林(和歌山県有田郡有田川町上湯川76)
*室内での講義の場合は、有田川町清水地区にある有田川町の施設を利用。
集合場所:
有田川町清水行政局前駐車場(有田川町清水387-1)
*JR藤並駅・阪和道有田ICから車で約50分
*集合場所から和歌山研究林まではマイクロバスにて移動していただきます。(所要時間1時間程度)
対  象:
斜面を歩行できる方。小学生以下は保護者同伴。
定  員:
10名(応募者多数の場合は抽選)
今年度もコロナウイルス感染拡大防止のため縮小しております
参 加 費:
無料
持 ち 物:
弁当、水筒、山歩きに適した服装・履物、雨具、マスク等新型コロナ感染対策品
申込方法:
下記、googleフォームに必要事項をご入力下さい。
https://forms.gle/iw5YfcmmH99yNk4X8

 和歌山研究林からのメールを受信できるように設定してください。
 個人情報は本講座の運営以外には使用いたしません。

申込期間:2021年8月10日(火) ~ 2021年9月10日(金) 15:00

問い合わせ先:京都大学フィールド科学教育研究センター和歌山研究林
電話 0737-25-1183
電子メール fserc-wakayama@mail2.adm.kyoto-u.ac.jp(*を@に変えてください)
*対応時間 8:30~17:00 (土日祝 8/16,17,18休)

注意事項:
*新型コロナウイルス感染拡大防止のため以下のことに留意してください。
詳細はこちら
*悪天候の場合は現地の判断で中止することもあります。
*イベント傷害保険に加入しますが(保険料は京都大学が負担)、加入保険の範囲を超える賠償の
責任は、保障できません。予めご了承ください。

主催:京都大学フィールド科学教育研究センター和歌山研究林
(京大ウィークス2021参加イベント)
後援:有田川町教育委員会

前回開催時の様子はこちら