和歌山研究林の間伐材で京都大学「白浜海の家」を新装

里山資源保全学分野 柴田 昌三


 2008年7月12日に、フィールド科学教育研究センター瀬戸臨海実験所構内に所在する京都大学「白浜海の家」の竣工披露式が、尾池和夫総長、立谷誠一白浜町長など約50名の出席を得て挙行された。これまで利用されてきた海の家は1935年に建てられたもので、老朽化が著しくなったため全面改築工事が計画され、j.Pod工法による施工が行われたものである。建物には、海に面した側に大胆に採光面が配され、海からの光が存分に楽しめる構造になっている。建築に際しては、木造部位のほとんどすべての部分に和歌山研究林のスギ間伐材が使用された。この工法は耐震性に優れた木造構造物として京都大学の知的財産となっているものであり、南海地震が危惧される地域の木造建築物として地元からも高い注目が集まった。京都大学としては、大学が所有する山林の資源を利用したことに加えて、白浜町に近い和歌山研究林産の木材を利用することによる材料搬送にかかる二酸化炭素排出量の削減に取り組んだことにもなり、温暖化社会への貢献度の高い建築物でもあると高く評価されている。

ニュースレター15号 2008年11月 教育ノート