海域陸域統合管理学研究部門 佐藤 真行
時計台対話集会も今回で6度目を数えました。時計台対話集会は、フィールド研の絶え間ない教育・研究の積み重ねを、一年に一度市民の皆様に広く知っていただき、また、市民の皆様のフィールド研に対する意見や期待を受け止めることによって、今後の進むべき道を盤石のものとするための貴重な場であり、フィールド研の重要な恒例行事の一つと位置付けられております。
今年度は、フィールド研の中核たるプロジェクト、「森里海連環学による地域循環木文化社会創出事業(木文化プロジェクト)」が本格始動した年でもあることから、集会のテーマを「木文化創出~森里海連環学がひらく未来社会」と題し、時計台百周年記念ホールで催されました。開催日となった2009年12月19日(土)は、厳しい寒さに見舞われたにもかかわらず、熱心な市民のみなさまとともに、凛々とした集いとなりました。
本集会は、白山義久フィールド研センター長と江﨑信芳京大理事・副学長の挨拶で開会いたしました。フィールド研の益田玲爾准教授の司会進行にしたがい、最初に、国連大学高等研究所いしかわ・かなざわオペレーティング・ユニット所長のあん・まくどなるど先生より「森里海をつなぐ木文化社会」と題するご講演をいただきました。まくどなるど先生の抽んでた感性で捉えられた日本社会と木文化との結びつきは、深い思い入れのこもった言葉で語られ、市民の皆様の心へと響きました。もう一つの講演は、建築家の平沼孝啓先生による「森の未来のために建築ができること」でした。森を大切にする建築、そして木文化を育む人間社会について、実際に国内外を問わず建築設計に携わっているご経験に基づきながら、具体的で、そして未来への希望に溢れた展望が描かれました。
両先生の講演の後に予定されているパネルディスカッションに先駆け、フィールド研の「木文化プロジェクト」について、長谷川尚史准教授と吉岡崇仁教授から、それぞれ、仁淀川と由良川における取り組みが紹介されました。それを踏まえて、まくどなるど先生・平沼先生を交え、フィールド研の柴田昌三教授による進行でパネル討論が展開されました。まくどなるど先生の斬新な指摘や、平沼先生の実地に基づく意見、それらに対するリプライなど充実した議論となりました。
クライマックスは、「会場との対話」で訪れました。例年通り、登壇者が並び、アウトドアライターの天野礼子先生が指揮をとるかたちで進行されました。非常にエキサイティングな議論が、会場の参加者も巻き込んで繰り広げられました。率直で熱い意見があちこちから飛び出し、準備していた1時間はすぐに尽きてしまいました。話し足りない方々も多くいらっしゃったようにも伺えましたが、冬の寒さを吹き飛ばし、手に汗握る盛り上がりとなりました。
こうして4時間にわたって開かれた今年の対話集会は、フィールド研の山下洋教授の挨拶で締めくくられました。今回の対話集会では、これまで以上に率直な意見が開陳され、今後のますますの発展に向けて非常に重要な示唆に溢れておりました。本集会から学ぶことは多く、いただいた賞賛と叱咤を謹んで受け止めて、これからに活かしていこうと考えております。
本集会には、年の瀬も迫りお忙しいなかにもかかわらず200名近い方々にお集まりいただきました。講演、登壇いただいた先生方、運営にご協力いただいた方々、そして何よりも、最後まで熱心に参加していただいた市民の皆様に、心より御礼申し上げます。
ニュースレター19号 2010年3月 ニュース
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