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学生実習

京都大学「ILASセミナー:森での感動を科学する」実習報告

 ILASセミナー「森での感動を科学する」が9/4~6の日程で行われ、9人の学生が参加しました。

 脳波測定や表情認識AIなどを用いることで、森がヒトに与える影響を測定する実験が大カツラ周辺で行われました。

 3つのグループに分かれた学生たちは、沢の水に足をつけたりコケの感触を確かめたり等、林内での体験を楽しみながら、自ら考えた実験デザインに沿って脳波や表情の変化などのデータを集めていました。

 この実習では、自らが実験の被検体になるため、自身が感じたことをデータとして客観的に見ることになります。どのグループでも直観とは異なる結果が多くあったようでしたが、最終日の発表は、それらにも丁寧に向き合ってまとめられた良い発表ばかりでした。

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学生実習

京都大学「研究林実習Ⅰ」実習報告

 8月28日-9月1日
 上記日程で京都大学農学部の実習である2023年度「研究林実習I」を開催しました。8月28日午後~8月30日午前と、8月30日午後から~9月1日午前までの前半・後半の2グループに分かれての実習でした。前半グループの参加者は16名で、後半グループの参加者は28名でした。
 前半・後半とも実習内容は同じで、実習1日目は林内の標高が低い場所で樹木識別を行いました。
 2日目は林内の標高が高い場所で樹木識別や、林内の大規模防鹿柵の見学等を行いました。
 また、代表的な樹木の腊葉(さくよう)標本作成を通じて、樹木の観察や識別のポイントを学びました。
 標高により自生している樹種に違いがあることや、鹿の影響による林内植生の変化等を、実地にて学ぶことができたと思います。

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学生実習

人間環境大学「奥山・里山管理実習」実習報告

 2023年8月23日~25日

 上記日程で人間環境大学の学生実習「奥山・里山管理実習」が開催され、学生18人が参加しました。この実習では奥山と里山の森林植生の違いや森林で起きている様々な問題を学ぶことを目的としています。

 1日目は上賀茂試験地で、技術職員の解説で里山や斧やチェーンソーによる薪づくりの見学などを通じて、里山の生態系と暮らしについて学びました。
 2日目は芦生研究林の見学と調査体験を行いました。午前中は林内散策や大規模シカ柵を見学しながら奥山の自然林について学びました。午後からはトチノキの調査、きのこの調査、人の営みと歴史の学習の3班に分かれて、それぞれの研究者の解説で芦生の自然や歴史を深く学びました。
 3日目は美山かやぶきの里で里地での暮らしを見学しました。その後、北白川試験地に移動して、技術職員の解説でj.Pod工法による建物の見学などを行ったあと、実習のまとめと意見交換を行いました。

 この実習では奥山と里山を研究・管理する複数の教職員からの解説がありました。これらの話から、森林の特徴に加えて、それぞれの場所で働く人と森の関りを学んでいただけたら幸いです。

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学生実習

京都大学「ILASセミナー:有人宇宙学実習」実習報告

 2023年8月20日-21日

 有人宇宙学実習が行われ、合計9名の学生が参加しました。この実習は地球上の多様な環境について知り、人類が地球外惑星や宇宙空間で生活するために必要な環境について学ぶことを目的としています。
 
 芦生研究林では、森林環境について学び、森林生態系の維持について必要なことを理解するため、講義および野外実習が行われました。

 1日目に枡上谷にある環境省モニタリングサイト1000の調査プロットへ行き、そこで行われている調査の説明を受けた後に、毎木調査を体験しました。その日の夜は、枡上谷の毎木調査データを使って、炭素蓄積量の推定を行いました。

 2日目は集水域全体を防鹿柵で囲った試験地を見学し、シカの過採食に起因する森林生態系の機能や生物相の変化について学びました。例えば、芦生研究林ではシカの過採食が生じるようになって、不嗜好性植物のバイケイソウが増えました。その後、その植食者であるバイケイソウハバチが増えました。こうした見学を通じ、変動、回復力、レジリエンス、代替安定状態など生態系の特性を学びました。
 
 最後に、土井隆雄先生(宇宙飛行士)が「巨大な生命体」と称した大カツラを見学しました。

 学生たちは、森林生態系の巨大な構造や複雑性や生態系としての特性を学び、そうした環境を人工的に作り出すことができるかを議論しました。

 土井先生は人類の進化のなかで宇宙進出を位置づける有人宇宙学を語られ、芦生研究林の教職員も壮大なスケールの視点に学ばせていただきました。

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イベント フィールド 学生実習

京都光華女子大学「京都大学芦生研究林サイエンスツアー2023」実習報告

2023年8月12日

 上記日程で京都光華女子大学が主催する「京都大学芦生研究林サイエンスツアー2023」が開催され、女子中高校生4名と保護者4名が参加しました。このプログラムは芦生研究林でのフィールドワークを通じて生物多様性や生態系について学び、女子中高校生が将来、理系進路を選択するのを支援することを目的としています。

 参加者は長治谷から上谷を歩き、大規模シカ柵の見学しながら、坂野上講師の解説で芦生の自然とかつて行われていた人の営みと歴史について学びました。この日の芦生での体験が将来進路を決めるのに役に立ったなら、うれしく思います。

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学生実習

公開実習「森里海連環学Ⅰ」実習報告

 2023年8月7日~8月11日

 上記日程で2023年度森里海連環学実習Iを開催し、京都大学から5名、他大学から6名の学生が参加しました。この実習はフィールド研が開催している公開実習の一つで、京都大学に所属する大学生のみならず、他大学の大学生も参加することができます。
 この実習では芦生研究林内から若狭湾にそそぐ「由良川」を調査フィールドに設定しています。実習の目的は、水生生物の調査や水質分析を通じ、森から海までの流域を複合したひとつの生態系として捉える視点を育成する事です。

 1日目はまず、研究林内にて森林と大規模調査区の解説、河川源流域(由良川支流)での生物観察などを行いました。解説等を行った後、事務所付近(由良川上流部)に移動し、魚類・水生昆虫・プランクトン・河川水のサンプリングと水質調査を行いました。その後、由良川の中流域方向へ移動し、2地点で同様の調査を行いました。
 この日は3地点で調査を行った後、フィールド科学教育研究センターの施設である舞鶴水産実験所に移動しました。

 2日目は由良川中流域から若狭湾まで、初日と同様の調査を4地点で行いました。2日間で森から海までの7地点で調査を行いました。

 3日目は採取した水生昆虫と魚類の観察と同定を行い、採取地点ごとに魚類や水生昆虫の同定と計測を行いました。
 また、芦生研究林の技術職員2名が実習3日目まで、実習補助と実習中の安全確保を目的として同行していました。

 4日目、5日目は上記の通り、芦生研究林の職員は同行していませんが、4日目は実習で得たデータの整理と発表に向けてのまとめを行い、5日目に実習成果の発表を行いました。

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学生実習

京都大学「サービスラーニングA」実習報告

 2023年8月1日~8月3日

 上記日程で京都大学大学院総合生存学館の実習「サービスラーニングA」が行われ、学生4名が参加しました。またこの実習には南アフリカと中国からの留学生が2名おり、講義・解説はすべて英語で行われました。この実習は「実地体験を通して地域や社会の問題を知り、リーダーとしての俯瞰力、行動力、コミュニケーション能力を身につけること」を目的として行われています。

 1日目はまず、芦生研究林に関する講義を研究林で行いました。その後、美山かやぶきの里とかやぶき民俗資料館の見学を行いました。地元の茅葺きガイドと資料館館長にお願いして解説をしていただきました。

 2日目は大規模防鹿柵と原生的な森林を見学しました。そのあとに大カツラを見学しました。

 3日目は芦生わさび組合の方と山口大学の内田恭彦教授ともに、新設するわさび圃場の整備を行いました。芦生研究林と内田教授は、芦生わさび組合の葉わさびの醤油漬けの高付加価値化を通じた中山間地域の振興に協力しています。

 芦生研究林ならではのプログラムが多く、学生にとって非常に良い学びになったようで何よりです。

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学生実習

大阪産業大学「生物資源活用演習」実習報告 

6月24日に大阪産業大学の実習が行われ、6名の学生が芦生研究林を訪れました。

最初に資料館を見学しました。展示されている、トチノキの絵を見ながら、芦生での栃の実の取り扱いや地域での利用について解説を行いました。林内では主にシカ柵の見学を行い、シカの食害や防鹿柵に有無よる植生の回復の違いなど、芦生のシカ害とその歴史について技術職員が中心に解説を行いました。

この実習を通して、芦生研究林に興味を持って頂き卒業研究などの調査地などに利用して頂けたら幸いです。

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イベント お知らせ

芦生講演会「シカの食害による芦生の変化ときのこ相〜新たなモニタリングと協働」

8月27日に京都府立植物園において講演会を行います。今年は芦生のキノコに関する話題です。
詳細は下記記載内容をご確認ください。なお事前申込が必要で先着60名様までです。

日時:令和5年8月27日(日)10:00-12:00
場所:京都府立植物園・植物園会館2階 研修室
アクセス:京都府立植物園のウェブサイト(https://www.pref.kyoto.jp/plant/)を参照ください。
参加費:無料 ただし、植物園入園料が必要
主催:京都府立植物園
   芦生生物相保全プロジェクト (http://www.forestbiology.kais.kyoto-u.ac.jp/abc/)
   京都大学フィールド科学教育研究センター芦生研究林
後援:公益財団法人・自然保護助成基金、一般財団法人 タキイ財団
申込(締切8月18日17時):ウェブフォーム(https://forms.gle/61xJHNppHtSRArndA
             もしくは電話0771-77-0321(京都大学芦生研究林)

 芦生の森のきのこ世界へようこそ 一年の一時期だけ姿を現す、きのこ。
 本講演会では、芦生の森ガイドとともに56年ぶりとなる芦生のきのこ相を取りまとめた赤石大輔氏(大阪産業大学)と、環境DNAを用いた菌類の多様性を研究している芦生研究林の松岡俊将氏(京都大学)から、これまで十分研究されてこなかったきのこの多様性の謎に迫る最新の研究成果についてお話し頂きます。
 さらに本年4月に開設されたきょうと生物多様性センターについて平野滋章氏(京都府)にご紹介いただきます。

タイムスケジュール表
司会:阪口翔太(京都大学人間環境学研究科)

9:30開場
10:00開催挨拶京都府立植物園園長戸部 博
10:10芦生研究林でのシカによる生態系改変と
回復に向けた取り組み
京都大学フィールド科学教育研究センター石原 正恵
10:25芦生のきのこ相を知る:
これまでわかったこと(録画放映)
大阪産業大学赤石 大輔
11:00DNA解析で探る目に見えない
菌類の多様性とその変化
京都大学フィールド科学教育研究センター松岡 俊将
11:30京都府における地域と連携した生物多様性保全の取組京都府自然環境保全課平野 滋章
11:45総合討論
12:00終了
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京都府立林業大学校「森林科学Ⅰ」実習報告

 6月28日に京都府立林業大学校の「森林科学Ⅰ」実習が行われ、11名の学生が芦生研究林に訪れました。石原林長が事前に京都府立林業大学校で、森林科学Ⅰの講師として森林生態学に関する講義を行っています。この実習の目的は、座学で学んだことを実際に芦生の森で見学することにより、さらに学びを深めるものでした。

 当日はまず、京都府立林業大学校の卒業生である研究林の技術職員(宮城、永井)が、京都府立林業大学校入学前後のキャリアについて話をしました。そのあと技術職員の職務内容や、学校での学びと職務の繋がりなどについて解説を行いました。
 次に石原林長と技術職員の解説を聞きながら、上谷を杉尾峠から長治谷に向けて歩きました。道中では学生から「人工林と原生的な森林の違いは何なのか」、「自然生態系の管理とはどのようなことなのか」といった多くの質問がありました。現場で森林に関わっていくキャリアを考えておられる方が多かったため、とても的を射た良い質問ばかりでした。学生は林業や森林管理だけでなく、自然生態系やシカによる食害など、積極的に林内見
学をしていました。雨の予報でしたが長治谷までは雨に降られることなく、上谷歩きを終えることができました。しかし実習最後に立ち寄った大カツラでは大雨に見舞われ、車内からの見学となりました。下山後に斧蛇館で研究林の資料を見学しました。
 
 京都府立林業大学校卒業生である筆者の経験では、京都府立林業大学校の実習では人工林の見学が多く、芦生の森のような自然度の高い山に行く機会は多くありません。今後、森林について学びを深め、また色々な山を見学していく中で、この日の経験を思い出していただき、よりよい森林と人間との関係を実践的に作っていく人材に成長していただければと思います。