平成18年12月23日、第3回 時計台対話集会「森里海連環学が、日本の木文化を再生する」が開催されました。
“森里海連環学”が京都大学に誕生して4年近くが経過しました。この間、森と川と海のつながりの仕組みを解明し豊かな森や川や海を再生することを目標に教育・研究・社会連携に取り組んできました。これらの取り組みを通じて、自然の再生には“里”(広い意味で都市を含めた人々が暮らす空間)のあり方が最も大切であることが明らかになってきました。森と里と海のつながりは、地球を一つの生命体に例えると、“循環・免疫系”のような役割を果たしていると思われます。私達の日本も、そして世界各国もこの森と里と海のつながりを今再生しないことには、次世代から借り受けている豊かな地球の自然を壊したまま先送りすることになってしまいます。新しい学問としての“森里海連環学”は大学の中や研究者の間だけで閉鎖的に行うものではありません。社会の様々な運動ともうまく連携することが必須と考えられます。地球の砂漠化と人々の心の砂漠化にうるおいを取り戻す新しい学問としての“森里海連環学”への御理解と御支援をお願い申し上げます。
日本は国土の2/3が森で覆われ、先進諸国の中では際立った森林王国です。しかし、森林の実に4割は杉や檜の人工林で、生物多様性の減少や土砂崩落頻発など様々な問題を引き起こしています。これだけ大量に森林資源を持ちながら、日本で使用する木材の8割は外国からの輸入材です。貴重な熱帯雨林の減少や亜寒帯の針葉樹林の伐採に直接関わっています。
第3回時計台対話集会では、「“森里海連環学”が日本の木文化を再生する」をメインテーマに、「“木文化再生”は林業の再生から始まる」ことを皆さんとともに考えてみたいと願っています。林業の再生は森を健全にし、それは豊かな川や海の再生の出発点になるからです。多数の皆様の御参加を心より願っております。
フィールド科学教育研究センター長 田中 克
日 時 : 平成18年12月23日(祝)13:00~17:00
会 場 : 京都大学百周年時計台記念館 百周年記念ホール
〒606-8501 京都市左京区吉田本町
主 催 : 京都大学フィールド科学教育研究センター
特別協賛 : 株式会社 村田製作所
協 賛 : 株式会社 大伸社、サイファーアソシエーツ株式会社、全日本空輸株式会社、
京都・まいづる立命館地域創造機構、NPO法人エコロジー・カフェ(順不同)
問い合わせ先:京都大学フィールド科学教育研究センター 企画情報室
TEL.075-753-6414 FAX.075-753-6451
E-mail:joho*kais.kyoto-u.ac.jp (*は@に変えてください)
参 加 者 : 約430名
-プログラム-
開会挨拶 田中 克(京都大学フィールド科学教育研究センター長)
第一部
・対 談 「21世紀の人間と“森里海連環学”」
村田 泰隆(株式会社 村田製作所代表取締役社長)
尾池 和夫(京都大学総長)
第二部
・基調講演
「日本の森林は今」竹内 典之(京都大学フィールド科学教育研究センター教授)
「林野庁から始める林業再生」 山田 壽夫(九州森林管理局長)
・パネルディスカッション
「林業が“生業(なりわい)”とよみがえることが、木文化を再生する」
<パネラー> 小林 正美(京都大学地球環境学堂教授)
小池 一三(「近くの山の木で家をつくる運動」宣言起草者)
石出 和博(建築家、HOPグループ代表)
中島浩一郎(銘建工業(株)代表取締役社長)
<進 行> 天野 礼子(アウトドアライター)
第三部
・会場との対話
パネル展
京大フィールド研の施設及び活動を紹介するパネル展を同時開催。
( 開催時間:11:00~17:30、場所:同時計台記念館2階 国際交流ホール)
- 対話集会の様子 -
関連報道
・「京都大学フィールド科学教育研究センターが時計台対話集会」
(2006年12月11日 日本経済新聞 夕刊 10面)
・「林業再生から木文化考える 23日、京大で対話集会」
(2006年12月19日 京都新聞 朝刊 25面)
・「第3回時計台対話集会「森里海連環学」」(2006年12月19日 日本経済新聞 夕刊 18面)
白山教授の報告(ニュースレター10号 2007年3月)は こちら。
旧公開ページURI http://fserc.kyoto-u.ac.jp/main/centernews/h18/news16.html